8月14日(金) 広島市中区八丁堀にある立ちのみ店「そらや」で飲んで食べる。

広島市中区八丁堀にある立ち呑み店「そらや」で飲んで食べる。


色々なところで話に聞く「そらや」さんは、数ヶ月前に一人で行ったことがある。その時はけっこう酔っ払っていて、珍しく人との会話を欲して入り、カウンターに立って隣にいた若い男性にしつこく話しかけてしまった。立ちのみ屋に一人で入ったことがなかったので、礼儀というか、勘違いした固定観念があり、見知らぬ人に話しかけても構わない、むしろ話しかけたほうが良いと思っていたが、あとあと人にその話をしたら、あまりよろしくないという結論が出た。ポマードたっぷりの七三分けという見た目だったので、違う趣味と勘違いされたのではないかという意見もあり、さすがに一人の女性に話しかける勇気もなく、またそのようなマナー違反もしてはいけないと思っていたからこそ、一人黙っていた男性に話しかけたのだが、同性でもあまり声をかけないほうがいいらしい。


少しだけ何か食べて家に帰りたい。そう思っていたら再び「そらや」さんに来てしまった。生まれつき賢い人は失敗せずに理解するのだが、およそ馬鹿者というのは自分で失敗して初めて学ぶしかないので、前回の恥ずかしい反省があればこそ、今回は出来すぎた真似をすることなく、大人しくいることができた。人と話しに来たのではない、刺身を食べに来た、その目的を明確にして、一杯ですでにふらふらになっている頭は余計な二杯をせず、日置桜の冷たい酒だけで白イカとサザエをあてにした。そして、じっとしていられない性格は、ひたすら一人文章を書き続けていた。これもマナー違反かもしれないが、誰かに迷惑をかける行為ではないだろう。ただし、最近会社の集まりで同じようなことをして叱られてしまったから、はたしてどうだろうか。


学生の頃、授業中におしゃべりする生徒ではなかったが、眠ってばかりいることがあった。おしゃべりはうるさく、真面目に授業を聞いている人の迷惑になるが、いびきをかかない限り居眠りは自分の責任で終わるだろう。そう思っていたら、数学の先生におもい切り叩かれたことがあった。どうやら先生にとって、寝ている生徒は腹が立つらしい。


立ちのみ屋、教室、会社の夕礼、どんな場面にどんな態度をするべきか。人には迷惑をかけない、自分のことだから、その考えが組織という中の異分子として周囲に困惑を与える、それは迷惑だろうか。


なんてことも考える、自分に都合の良い考えはなかなか取り消せない、本当においしい刺身と酒だった。

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