7月5日(日) 広島市中区八丁堀にあるサロンシネマでポン・ジュノ監督の「ほえる犬は噛まない」を観る。
広島市中区八丁堀にあるサロンシネマでポン・ジュノ監督の「ほえる犬は噛まない」を観る。
2000年 韓国 110分
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ソン・テウン、ソン・ジホ
撮影:チョ・ヨンギュ
音楽:チョ・ソンウ
出演:ペ・ドゥナ、イ・ソンジェ、コ・スヒ、キム・ホジョン
今回で3作目の鑑賞となったポン・ジュノ監督の作品は、人間の暗部をシリアスに描くことはなく、ブラックジョークのように残酷なことをユーモアで緩和している。上映後に作品紹介を読み、これが長編デビュー作品と知って意外な気はしたが、最初らしい初々しさの方が感じられた。
走る姿や、地下室を舞台にした人間模様、散らかった部屋での庶民的なやりとりなど、観た2作品と共通する要素が見受けられるものの、若さと愛らしさが雰囲気の多くを作っていて、わりにすっきりした内容に素直な好感を持てる。登場人物も多くなく、それぞれの役割が複雑にならず、明瞭に関連していくのでポップという言葉が似合う内容となっている。
奥さんの突っ慳貪な演出はやや単調に思える面もあるが、それは自分の好みの基準でしかなく、あれくらいの一面をさらすくらいがややこしくならず、駒の裏返しのような場面で綺麗に返るのだろう。地下室のボイラーを語るシークエンスもやや長い気もするが、それも好みの違いだろう。
犬の心臓のように心拍のテンポが早くなる物語の中で、隠れる際の顔の撮り方や煙による雲隠れなど常套的と思える演出はあるが、さすがと唸るカメラワークはやはりあり、特に、走る犬のリードを踏みつけて持ち去るカットは文字通り唖然となり、トイレットペーパーの転がるシークエンスには、忘れられない女性らしい時間が流れていた。
親しい友人と接するように染められた和気藹々と笑える作品だが、ところどころに韓国という国を皮肉っているような台詞や演出があり、ただのコメディで済ませない作品のきつさがある。それでも和んで笑えるのだから、構成の上手さと演出の鋭さはこの監督の持つ器の大きさによるのだろう。期待を裏切らない、とても良い作品だった。
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