3月30日(月) 広島市西区上天満町にある洋菓子店「ケーキハウス アリス」でプラリネアマンドとさくらを買う。
広島市西区上天満町にある洋菓子店「ケーキハウス アリス」でプラリネアマンドとさくらを買う。
物や体の故障を書き、文化についての感想文ではなく、ただの日記になっていると言われた。そのとおりだ。パソコンやアイポッドではなく、生に近い実体験としての鑑賞機会の少ない今においては、鈍ってしまうだろうから、なにかしら言いたくなってしまうのだろう。
そんな時だからこそ、書く材料を手に入れるために初めての店を訪れることにして、名前からするとファンシーな雰囲気が自分に合いそうにない「ケーキハウス アリス」へ行ってみた。
名前や店構えからするとシャレた流行の店というよりも、昔とまではいかないが、時代に取り残されずにある落ち着いた雰囲気が、短くない年月によってまとわれているようだった。
小さいケーキの種類は少なくないが、売り切れているのがけっこうあり、目の前のお客さんにおいしそうなケーキも買われてしまう。ぱっと目に付いたプラリネアマンドと、今の時候に合ったさくらを選び、前のお客さんの注文をそれほど持たなかったが、大変お持たせしました、という言葉以上の気持ちを添えられる。
家に帰り、外観からの固定観念を持ってプラリネアマンドを食べると、ふくやかに甘く、親しみやすいが薄っぺらな軽さではなく、彩りを持ったアーモンドのクリームがまず口につき、ついでシュクレ生地らしい下部を食べると、しっとりしながらチョコチップも加わり、好ましいじっとりした甘さが広がった。固定観念はいい具合に裏切られ、オーブやマロニエとは異なる自分の趣味に合う店を見つけたと思った。
それはさくらというケーキで決定された。ジュレになった花びらの塩漬けの見た目以上に、上面のクリームに塩っ気と香りが満ち溢れていて、思わず酒が頭に浮かぶほどに粋な味わいとなっている。ふんわりしたクリームは風味の凝縮されたジュレを受け止める柔らかい甘さがあり、下部にあるクリームはさくらんぼや桃かわからないが、朗らかな桃色の味がとてもやさしい。全体として、塩を上手に使った初めての味わいとなっていた。
人は見た目で判断してはいけないが、店も同様だ。とはいえ容貌通りのことも多いから、時には外れるにしても、このケーキのような新たな発見があるから、近所もずいぶんと知らないものだ。
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