3月14日(土) 広島市中区榎町にあるまぐろ専門料理店「彩々たなか」でネギトロ鉄火丼を食べる。

広島市中区榎町にあるまぐろ専門料理店「彩々たなか」でネギトロ鉄火丼を食べる。


小さい頃はアレルギーの関係で生ものが食べられず、症状の出なくなった頃には寿司と刺身が受けつけなかった。きゅうりとたまごが救いで、それからどうにか、かんぴょうを食べられるようになった。


野菜でも魚でも食べられないものが多く、そんな好き嫌いの激しさを直すきっかけになったのが、どうして選んだのか高校生の時の寿司屋のバイトで、まかないにサーモンやイカ、マグロ、ホタテ、とびっ子などを食べ慣れて、すっかり寿司好きになってしまった。それからは苦手な食べ物にどんどん手を伸ばして、どれも好物となっていった。


そんなわけで隔週土曜日の十日市探訪にまぐろ専門料理店を選んだ。目をつけていた店だ。新しくない店構えと内装だが、アルバイト先の寿司屋のような特有の酸っぱい臭いはなかった。


1種類だけでなく、やはり2種類食べたいとメニューに目を通していると、ネギトロと赤身の入った丼がある。それを頼んで待っていると、見るからに美味しそうなピンクと赤の彩りがやってくる。


小松菜の香る汁は具が多く、粒のある味噌が濃いめだがくどくなく、味噌汁らしい押し出しがある。本当においしい赤身を食べたのは義妹夫婦の結婚式に訪れたハワイのレストランで、肉厚のアヒにまさしく宝石のように透き通った旨味があり、これが赤身のおいしさだと感動した。それを思い出させるここのまぐろも臭みは一切なく、やはり透いた味わいにおさえのきいた甘みと旨味がじっくり口に広がる。脂部分とは異なる実に粋で上品な味だと、小さい頃は一番嫌いで慣れづらかった赤身に喜ぶ。ネギトロはやはりあのとろっとした甘さが口一杯に膨れて、うずらの黄身の甘さもよく絡んで溶けていく。


近所にこんなおいしいまぐろ店があるなんて。おそらくこの界隈では有名な店だろうが、目をつけないと狭い範囲の生活では気づかない。


次は中トロか、やまかけやスタミナもおいしそうだ。大トロに手は出ないが、もう一歩あがった料理を頼もうと、次回を考えさせるおいしい店だった。

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