2月22日(土) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで松浦真一監督の「子どものおもちゃ」を観る。

広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで松浦真一監督の「子どものおもちゃ」を観る。


2017年準グランプリ、観客賞(京都) 52分 カラー


監督・脚本・編集:松浦真一

出演:神保舜莉紋、横路周東、奥田晟士、佐伯礼樹、平田宙大、井上陽、真弓、吉田青弘


蝉の鳴き声が貫通する山間の学校を舞台に子供の銃撃戦は描かれ、転校や進学などの大きな分岐や、大人の事情も瞬間的に含められている。


明るいショットに清新な汗もあり、風がカーテンを揺らし、コーヒーの木なども風景に色を添えている。セリフは固く、間、発声もぎこちないが、これが監督の演出なのか、それとも拙さなのかは判然しない。これらに加え、子供たちの立ち位置や演技にもやはりわざとらしさは拭えず、これが却って作り物らしい芝居となって、空気を読まずに嬉々とする子供の素直な反応は持たず、背伸びしても高さの得ない勿体ぶった大人の振る舞いになっている。


5時30分の時報が魔法を解かすように思える。拳銃の火花は本物らしく、威力もある。子供は時に死んだように眠るも、銃口から飛び出すのは軽い弾の時もあり、仮象を剥がした真剣な行いの中で、表象される姿は特段の意味を持たないように思える時もある。


常套的な自然風景のショットは美しさがあり、真夏らしい季節と休みの校舎の空漠感の中で、悪ふざけをする感慨が思い出される。忍び込んだ夏休みに、ふと、甥っ子を肩車して歩いた自分の校庭が思い出され、学校の持つ不可思議な日常が交差して、大人の目線と子供の目線が錯綜する。


小箱の時間そのもののような大きな歴史を持った学校の、不気味な一時が明るい魔力で描かれていた。

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