2月10日(月) 広島市西区観音町にあるケーキ店「ハイデルベルグ」のケーキを食べる。
広島市西区観音町にあるケーキ店「ハイデルベルグ」のケーキを食べる。
冴えない一日というのがある。寝不足ぐらいならむしろ体がより活動してくれたりする。風邪をひいたりすればはっきりと体調の悪さを感じる。しかし深酒の次の日で、ひどい二日酔いで吐き気がするのではなく、職場に足を踏み入れてちょっと千鳥足になっているくらいの心地だと目覚めがいつまでも悪いのだ。自分の口臭と体臭がきつく、頭がすっきりしない。腰ぐらいの溺れようのない小さな池の中で、死なない程度に冷めたまま溺れた気になっているようだった。
そんな状態で業務をどうにかこなし、さあ明日も休みだ、予定した通り西観音町のケーキ屋さんへ行こう、退勤後に意気揚々として自転車をこいでいると、どうやら千鳥足は車輪にも伝わり、向こうからくる自転車を避ける判断がつかず、おろおろして、互いにブレーキをかけるも少しだけ衝突する。イヤホンを外してすぐに謝るも、相手は返答がなく顔も強張っている、気になって、つい突っかかるように問いかけると、すいませんってもう言いました、イヤホンをしているから聞こえなかったんですよ、そもそもイヤホンをしながら自転車をこぐのが問題ですと言い捨てられて、何も返事もできずにお互いは去る。ぐうの音も出ない、これほど当てはまる言葉はない。相手の言う通りだ。なんら反論する言葉もない。冴えない男だ。
そういう日は店が閉まっている。定休日を前に調べて、月曜日は開いていない。明かりのない店の前で思い出す。グーグルマップは持っていない、あるのは携帯電話だ。事前の下調べが必要だった。まあいいや。
というわけでのんびり自転車をこいで、帰り道にあった「ハイデルベルグ」でケーキを買って帰る。ちんでんから見える店で、随分前にシュークリームを買った以来だ。イチゴのババロアと名前を覚えたがすでに忘れたチョコレートのケーキを買う。スイス・ドイツ菓子の店らしいが、パンもあり、フランス菓子らしい丸く光るコーティングされたメロンやカシスのケーキもある。
イチゴのババロアはフルーチェを思い出す味で、生地もスポンジというよりカステラという感じだ。チョコレートのケーキは、生クリームらしいクリームに、素直なチョコと生地の味だ。老舗の店だとは知っていたからか、大きなのっぽの古時計、そんな印象どおりの味だ。繊細な細工があり、派手に着飾っているわけではない。多くの子供に優しく手を伸ばしていたケーキらしいケーキだ。
目の覚めるような鮮烈さはなく、鋭さで陶酔するのとも違う、なんかまどろみを感じるようで、ケーキを食べて早々とシャワーを浴び、すぐに布団について仮眠した。ケーキがなにか言ったわけじゃなく、子供心にかえったわけでもない。早く眠れと頭痛と全体が言っている。
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