12月31日(火) 渋谷区大山町にあるイスラム教寺院「東京ジャーミイ」を訪れる。

渋谷区大山町にあるイスラム教寺院「東京ジャーミイ」を訪れる。


ここに行く予定は取りやめていたが、電車が代々木上原を過ぎる時に車窓からドームの建築を目にして、気が変わり、下北沢で下車して戻る。


このジャーミイは思い出深く、道なき道、羊飼いのちらほら見れる丘のような大地を2日続けて移動し、マザリシャリフからヘラートの宿にようやく着いた時、絨毯の敷かれた大広間に日本語のポスターが壁に張られていて、日本にあるモスクがカラーで紹介されていた。日本人旅行者どころか外国人旅行者も皆無に思えたアフガニスタンの移動の最終日に、どうしてこんな物があるのかと畏怖を覚えるほどの啓示に思えた。大げさではあるが、無事に帰国できたら行ってみようとメモに残したのが、この代々木のジャーミイだ。


何かしら行事をおこなっているらしく、数回訪れた中でもっとも人が多い。それも西から東の幅広い地域の人種が交じっている。


1階には大部屋で憩っている人達が多く、スピーカーから子供の声でコーランの一節を朗誦するのが流れている。2階だろうか、皿にあったデーツを口につまむ。


2階の礼拝所ではコーランの朗誦コンテストが行われていて、サウジアラビアの映画作品で観るような一幕が行われていた。小さな子が椅子に座り暗唱する姿がほほえましく、時間に余裕があるならばのんびりと聴いていたいほどだった。


カレーで腹一杯になっているのに、2階の外で売られているケバブサンドとラマジュンに腹はくすぐられて、お持ち帰り用に包まれた手提げ袋にあるナンとパンが思い出された。


帰り際にバスを降りて来た団体もいた。帰国後は現地のモスクを経験したあとだったので、小さいとは思っていたが、今こうして再訪してみると立派な建築と装飾に驚かされた。昔の記憶はもはや他人で、今はまったく別の自分がいると自然に浮かぶ懐かしさを感じることはできなかった。

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