10月6日(日) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでヨン・サンホ監督の「新感染 ファイナル・エクスプレス」を観る。
広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでヨン・サンホ監督の「新感染 ファイナル・エクスプレス」を観る。
2016年 韓国 118分 カラー Blu-ray 日本語字幕
監督:ヨン・サンホ
脚本:パク・ジュスク
音楽:チャン・ヨンギュ
撮影:イ・ヒョンドク
出演:コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソク
現在開催されている「韓国映画特集 in 広島」に「多彩なジャンルの韓国映画に出会う」と書いてあり、納得した。ホラー映画だろうか。何年ぶりにこういうジャンルを観たのか、インパクトが凄まじかった。「エイリアン」や「アルマゲドン」、もしくは「マッドマックス」でもこれほど激しく情感を揺らし続ける威力はあっただろうか。驚き、焦り、何度も叫びそうになって、最後に涙が出る。
感染した人間の動きが極めて強烈だ。電気ショックを与えたようにびくんびくんと動き、関節の向きがエゴン・シーレの絵のように過激なポーズをとったまま、死んだ魚のような青白い虹彩を見開いて襲いかかってくる。次々と、ぼたぼたと、雪崩のようにこぼれてきて、泥んこだまを地面に叩きつけたように飛び散る。ただただ数と、量に唖然とする。特に、ラストに近づいた列車の移動撮影での俯瞰シーンでは、バッファローの群れの大移動のような膨大な数の疾走に、声に出さずとも心の中で悲鳴が出る。
自分さえ良ければいいのか、家族とは、他人とは、そんな他者との関係性を問われる。また単に病原菌が移るのではなく、恐怖に感染した集団の変化や、デモの映像から、飛蝗と変わらない数の増減による環境と個体への影響も示唆されていて、つい国と国との関係の中での無知蒙昧な差別もあてはめてしまう。
パワフルな登場人物に、アニメやゲームの影響を見逃せない動きなども見てとれるが、昨日の映画の結末も考えて、ふと「新暗行御史」という漫画を思い出した。「ベルセルク」からの影響も感じる巨大な剣の登場する作品は、世界をどう見るかという興味深い思想があり、日本の漫画家には感じられない異なった東洋の雰囲気があった。結末は派手な全滅となり、ここまで徹底して滅ぼすのは日本の漫画でもそうそうなく、非常に強い印象を残した。
そんな漫画を思い出すのは、昨日と今日に観た映画作品に通じる非情な要素があったからだ。それをこの国の歴史と結びつけて考えそうになるが、当てずっぽうなのでそれ以上は突っ込むことができない。
とにかくえらい騒ぎの映画だが、ピクサーの映画に描かれるような家族関係に、やはり感動せずにはいられない。そして、あれだけの動きを表現したことにも感動を覚えるほどだ。
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