8月15日(木) 愛知県への旅行を振り返る。

愛知県への旅行を振り返る。


夜行バスに乗って、それぞれの場所に思い入れと目的を持って旅行した三日間は、スマートに過ぎた。昔に食べた料理や、使ったことのある駅を再体験してみて、その違いはあるも、思った以上に懐古的な感慨はなく、現在の感覚による判断が主となり、観光をしていても昔を振り返ることはほとんどなく、また広島の日常も忘れてしまい、目の前にあるものを味わうだけだった。


夜行バスが距離を奪うのか、寝て、起きたら名古屋で、それぞれの土地を観光するも、それはお盆休み初めに訪れた呉と同じようなもので、日本地図上の遠さは何も感じられなかった。佐賀、愛媛、山口を旅行した時のほうがはるかに旅情があったのは、間違いなく、昼の移動による景色の変遷を見ていたからだろう。今回はそれがほとんど欠けていた。


夜遅くまで1人寂しく街を歩き続けることもなく、18時には宿へ戻り、酒を飲んで話し続けて、また、夜行バスを待ってアイリッシュパブでギネスを飲みながら、ひたすら文章を打っていたので、疲れがなかった。


とはいえ、後々に思い出される旅の風景の種はいくらでもあるだろう。それに、強い日射し、蝉の声、こっちに向かってくるオニヤンマなどは、夏休みの証としてあり、台風前の強い風に煽られる常滑の樹木と板戸や、唐突な暴風雨による寺での雨宿りなどは、いつまでも残り続ける印象をすでに持っている。


それに今回は少なからず人と話した。その中で、江戸と上方落語に、美術館と博物館の意見を話し合って、正反対の嗜好の違いが面白かった大阪出身の男性と気が合い、その人は大阪の美術館に日本有数の陶磁器コレクションがあり、やきものなら、丹波を是非訪れてみてと言っていた。今回シーレの作品があると勘違いしていたのは、「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」で、8月の終わりから大阪で開催されるそこにも足を伸ばそうと思っていたから、次の旅行先は必然と定まった。


さっそく次の夜行バスと宿を予約して、再びクリムトとシーレにやきものを合わせた旅行へ行くことを決めた。

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