8月14日(水) 常滑市瀬木町にある「とこなめ陶の森資料館」を観る。
常滑市瀬木町にある「とこなめ陶の森資料館」を観る。
順調に着けば、2時間は観ていられるだろうとバスの中で考えていると、雨が降ってきた。遠くの景色はぼやけている。嫌な予感がする。
館内に入るまでが勝負だと、傘を用意してバスを降り、早足で向かうも、今日一日黒沢明監督の映画らしく吹いていた風に乗り、雨粒が連射されてきて、大善院の前を通る頃には、雷は鳴らないが、つい最近観たばかりの「八月の狂詩曲」のラストの雨風そのままが襲ってきて、傘などなにも役に立たず、急いで境内へと逃げ込んだ。
まいったなぁ、と繰り返し呟いて、トタン屋根に打ち付けた水しぶきが風に乗っがかかる軒下で呆然とする。時間を追ってバスに乗ったのに、これでは時間が削られてしまう。とはいえ、映画の雨が誇張されていないと納得できる風雨だ。
20分ほどたたずみ、少し弱まってから歩き出す。それから3分で陶の森資料館に着いた。わずかな時間の差が惜しい。
瀬戸蔵ミュージアムの内容量を踏まえてきたので、無料で入場できる資料館の展示物に正直に安堵した。すでに2時間もないので、じっくり観ても少し時間が余るくらいだった。
陶磁器についての細かい種類や釉薬、装飾技法などは解説されず、あくまで常滑のやきものの歴史に絞った展示内容だった。団子茶屋のおじさんと、散歩堂のおばあさんの話、それに観光ルートを飾る築窯用炉材や土管、壺等を実証するものだった。通路に並ぶ時代によって異なる大きな壺や、大壺の製法の解説映像などから、大物を作ってきた歴史を細かい解説なしに知ることができる。
やはり来てよかった。ただ店にある作品や売り物を見るだけでなく、人から話を聞いて、土地にある物を眺め、その理由を資料館でまとめてこそ、それぞれが活きてくる。
コンクリート作りの資料館はモダンな作りの外観で、エントランスホールもコンセプトを持った静かな空間にあり、展示スペースの天井からの採光も幾何学的な機能美を持っている。
のんびりと観てから、外に出ると、再び強い雨が降ってくるも、すぐに止む。少し早くバス停に行き、パンフレットを見て時間をつぶしていると、陶芸研究所に古い常滑の作品が展示されていることを知る。惜しいことをした。
とはいえ、時間に急ぐなと雨に立ち往生されたので、これぐらいの観光が自然なのだろうと、帰りのバスに乗った。
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