7月13日(土) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでポルトガルの短編映画3作品を観る。

広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでポルトガルの短編映画3作品を観る。


「ウォーターパーク」

2018年 ポルトガル 17分 カラー Blu-ray ポルトガル語(日本語・英語字幕)

監督:アナ・モレイラ


「恐怖の設置」

2016年 ポルトガル 15分 カラー Blu-ray ポルトガル語(日本語・英語字幕)

監督:リカルド・レイテ


「いかにしてフェルナンド・ペソーアはポルトガルを救ったか」

2018年 ポルトガル、フランス 27分 カラー Blu-ray ポルトガル語(日本語・英語字幕)

監督:ウジェーヌ・グリーン


ウォーターパークは、日頃全く観ない短編映画という作品構造をありありと知らせてくれて、この作品は長編映画よりも物語の尺がだいぶ短いからか、カット編集はむしろゆったりとしていて、順々に視点を並べていた。去年に観たマニヴェル監督の「パーク」を思い出させる外気の音が流れ続けていて、周りには他に人間がおらず、自然の中での出来事だということを、人の動作の音で強く感じさせる。動き追った多角的なカメラワークは、静寂で詩的な構成に成り立っている。


恐怖の設置は、コメディのようであり、シュールなミステリアスにも思える登場人物の動きと台詞だが、題名の意味するものがわからず、暴力的な単語が述べられると、それが観客の想像力を過剰に刺激して恐れを募らせてくる。演技らしい演技に、手の込んだ演出もあり、ラストを含めて娯楽性の高い作品だった。


いかにしてフェルナンド・ペソーアはポルトガルを救ったかは、コーラの輸入が50年間禁止されていた史実をもとにした作品らしく、登場人物の会話劇が非常にユーモアとエスプリに優れていて、俳優の衣装も凝っており、「ソクラテスの弁明」を想起させる対話篇らしき問答と、人物を真正面から映すカメラワークが定型の詩文のように古典的なリズムで、無駄を省いた数理的な論証のような明確な筋道の物語をニヒルな解決に至らせる。監督の名前はフランス人の読み方なので、ポルトガル人ではないのだろうか。題名から一面的にも思える辛辣な冗句を感じるが、歴史の面白さを見事に物語っている。特に、広告と詩の関係性についての鋭い文句は、観ていて気持ち良いくらいだ。


今日でEUフィルムデーズ2019の広島は終了だ。東京や京都に比べて上映作品が限られているのは残念であるも、全国でも4都市でしか行われないのだから、少しでも観られることに満足すべきだろう。とはいえ、自分の日程の都合があるとしても、もう少し観たかったのが本音だ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る