6月9日(日) 広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ大ホールで「広島ウインドオーケストラ第51回定期演奏会」を聴く。
広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ大ホールで「広島ウインドオーケストラ第51回定期演奏会」を聴く。
指揮:秋山和慶
広島ウインドオーケストラ
ホルスト:吹奏楽のための組曲 第1番 変ホ長調
ホルスト:吹奏楽のための組曲 第2番 ヘ長調
ジャンニーニ:交響曲第3番
リード:アルメニアン・ダンス(全曲)
元々の予定では、この日にMETのライブビューイングでプーランクのオペラ「カルメル派修道女の対話」を観る予定だったが、リードの「アルメニアン・ダンス」が気になってしまったので、変更して聴きに来た。
吹奏楽の演奏会に来るのは初めてだ。機会はあったのだろうが、関心がなく、いつも見過ごしていた。管楽器だけで、吹奏楽という名前から学生のイメージが強く、甘くみていたのだろう。
しかし、今日の演奏会は予想以上の音楽性の高さに満足した。ホルストの2曲は、午前中の「あゝ野麦峠」の影響でとても起きていられず、うつらうつらと、第2番の第2楽章は自分の好みに合うなぁ、などと思っていたが、ほとんど覚えていない。勿体ないが、体調が万全でないとこうなる。
ジャンニーニの曲になるとどうにもならない睡魔からようやく開放されて、吹奏楽ならではの楽器編成の音楽を見つめられることができるようになった。第2楽章では、弦楽器でこのようなアダージョは聴くが、木管楽器の瞑想が静かに歌われ、次第に膨れ上がっていくのに鳥肌が立った。吹奏楽は……、管弦楽と変わらない。ただ弦がないだけ(コントラバスが二人いたが)。それでも人間の作りあげた芸術としての音楽は、何も影響を受けない。一本の楽器で、どれだけの芸術としての音楽があるか知っているのに、吹奏楽だけなぜ違って見ていたのだろう。情けないことだ。第3楽章のスリリングな木管楽器も本当に素晴らしい効果だ。第4楽章の、プロコフィエフのいた時代を感じる楽想は、フィナーレに向かう構成の素晴らしさは、本当に聴き応えがあった。
後半のアルメニアン・ダンスは、目的としていたメロディーや調子が聴けた。ハチャトゥリアンの曲から垣間見るアルメニアの民謡が、ペルシャとの距離を感じさせる哀調と階調にあり、剣の舞のような小刻みな音が鍵盤打楽器で奏される。打楽器群の躍動感も踊りだしたくなるほどで、トロンボーンの動きと言ったら……、血が沸騰するほどだった。ゆらゆらと奏されるクラリネットに、コール・アングレやオーボエ、管弦楽ではあまりみないサックスの音色……、吹奏楽はこれほど素晴らしいのか。
もちろん、今日の演奏会を引き出した秋山さんの力はあるが、日頃下野さんと一緒に音楽を作っている広島ウインドオーケストラの力量が素晴らしいのだろう。本当に嬉しい発見だった。
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