5月5日(日) 松山市をあとにする。

松山市をあとにする。


トンカツで腹を満たしてから、電車に乗るまで1時間くらい残っていたので、大街道と銀天街近辺を歩く。それまでに1つの店でコーヒー豆を買い、もう1つの店でブレンドコーヒーを飲む。テイクアウトも店内で飲むのも同じ値段で、紙コップに入れられて出てきてすこし損した気分になる。目立って特徴のある味ではなく、やや雑味のある中間の味だが、店内で飲むのに紙コップでは口当たりが残念だ。コンクリートと鉄柵などを利用した素材がむき出しの洒落た店内だが、気づけば新しい店らしく、まだこの界隈に馴染んでいないのかもしれない。


歩いていて、思ったよりも大きな街だと確認できた。昨日、砥部町へ向かうバスが大街道のそばの筋を平行して通っていた時に、その通りが広島の流川と似た種類の場所で、こんなところをバスは通るのか、子供が見たらどうだろう、必ず興味深く思うだろうと思った。こういう場所があるということは、経済活動が小さくないことの証明だろう。


萩よりも大きい規模で、大街道の店々だけでも活気があり、映画館があったので上映作品を確認すると、最近の広島での上映作品を確認したわけではないが、少し違った作品が上映されている気がした。


ミシェランのガイドブックに広島と合わせて愛媛も掲載されるだけあって店が多く、アーケード通りから外れた小道にはイタリア料理やバルなどがあり、サンドイッチを扱うカフェも散見できる。一時間ほど歩いただけではほとんど街を観たことにならないなと、一六タルトの期間限定の味を買い、駅へ戻る。


駅の近くに、俳句を投函できるポストがあり、旅行好きだったらしい正岡子規にせっかく近づいたので、自分のこの旅行の全編を通してまとっていた印象を書いて入れる。


伊予鉄道の電車に乗って高浜へ向かい、歩いて港へ行く途中に近所の犬にけたたましく吠えられ、最終便のフェリーに乗って広島へ帰る。船内から海の景色は見ずに、頭の中をひたすら整理する。


昨日にとめたままの自転車は広島港にそのままあり、乗って家へ帰る。早くシャワーを浴びたいと船内でかゆみに耐えていたのが、あまり冷たくない夜風はそのざわつきを沈めてくれた。

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