5月5日(日) 松山市道後湯之町にある「道後商店街」で食べ歩きする。

松山市道後湯之町にある「道後商店街」で食べ歩きする。


少し早い昼御飯を食べ終えて、昨日浸かった椿の湯の方へ歩く。すると左手に、アイスモナカを売っている店があり、ちょうどデザートを食べたかったので1つ買う。130円だ。広島のカレー屋「タマリンド」で似た物を食べた良い記憶があったので買ってみたら、あの時の物よりもミルクが強く、食感も少しだけ硬めで、安っぽいミルクではない。アイスを包んだまま売られていたが、モナカは湿気っておらず、さくさくした食感も残り、この価格でこの味は得だろう。


それから道後温泉本館の方へ歩くと、人が並んでいる店に色々な種類の柑橘が置かれている。他の野菜や果物は知らないが、柑橘は嫁さんの親類から毎年いただき、知らないわけではないから、箱に丁寧に包まれた物や、プラスチックにラップされた物などを手に取り、知ったげに匂いを嗅ぐ。覚えている名前もあったが、知らない物ばかりで、柑橘の種類は熱帯魚の名前のように簡単ではない。


その店の向かいで、美味しそうな瓶詰めが売られている。近づいて手に取ると、柑橘を薄くスライスした物が等間隔で詰められていて、すぐ近くにいた女性から試食の誘いを受ける。食べると、苦味も持った鮮烈な柑橘の風味と甘みが口に広がり、噛んでいると、商品の説明も一緒に受ける。自家栽培のブラッドオレンジを使い、二種類の内の色の薄い物を砂糖のみで炊いているとのこと。ふと、スペインで食べた柘榴のような色の気品を持った甘いオレンジを思い出した。内子に住んでいるらしく、生まれは宇和島と言うが、土地勘がないから何処かわからない。前は東京に住んで働いていたが、ちょっとしたきっかけで愛媛に戻り、地元ではない内子に住み始めたそうで、今日は出店してここにいるそうだ。もう一度試食させてもらい、やはり美味しいので1瓶買う。奇麗に並んでいる野菜を使ったピクルスも美味しいのだろうが、これだけにする。


続いて隣に出店されている甘酒を買う。甘酒を扱う男性は西条から来ているらしく、ついつい酒と柿が頭に浮かんでしまうも、何処かわからない。昨日知ったばかりの知識をひけらかすように米の品種を知ったように訪ねると、伊勢神宮で奉納されているという、いせひかりという飯米らしい。実家で食べていたあきたこまちに、有名なこしひかり、米の種類も当然たくさんあるのだろう。瓶詰めを売る女性が、すっきりした甘酒というので、飲んでみると、その言葉を舌が追いかける。冷えていて、上品な味わいだ。温かい甘酒というと、多様な成分と菌が渦巻く雑多な甘さを思い出すが、まるでうまく淹れたコーヒーのように無駄がない。


この辺りの見所を訊ねて、その場をあとにする。すぐに、この土地の人ではないから、詳しく知らないだろうと気づいた。昼御飯を食べた後は、かえって腹が減ることも思い出す。

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