5月4日(土) 砥部町大南と五本松にある窯元をいくつか訪れる。

砥部町大南と五本松にある窯元をいくつか訪れる。


地図をズボンの後ろポケットに入れて、道を進んでいく。まず最初に入ったのは雲石窯で、屋内はそれほど品数は多くなく、外には焼かれたのか、それとも焼かれる前か、同じ大きさの素地の皿が置かれていた。


次に道を間違えて、そのままウメノ青興陶園に入る。ここまでの道は、細い道に焼かれた絵が貼られていて、それに誘われてそのまま階段を登ってしまった。階段の脇にはグルジアのメスティアで見た塔を思い出す煙突があり、先端から緑と紫が伸びている。また階段に沿ってレモンの木々が植えられていて、ちょうど花咲く時期ということで、クチナシ科のような甘い芳香が漂い、最初はみかんの花かと思い、ふと、萩で出会ったスペイン人が、夏みかんの花を嗅ぐとセビージャを思い出すと言っていたので、このような匂いだったのかと考えた。


ウメノ青興陶園は、木造の屋内の雰囲気が良く、品揃えも豊富で見ごたえがある。陶器から磁器で、何人かの作家が扱われているのだろう白磁、青磁、天目、形も絵柄も色々だ。そのなかで、漫画の「伝染るんです」に登場しそうなのが、ぽつんといた。


道を戻り、五本松界隈に入る。開いているところもあれば、閉まっているところもある。青芳窯、五松園窯、竹山窯、岡田陶房と続けて見る。どこもあまり品数は多くなく、こじんまりとしている。作風の違いは判別できる。岡田陶房ですこし大きめのぐい呑を見つけるが、形がやや縦長だったので買うのをやめる。


続いて小さな川を渡り、坂を登って陶里ヶ丘へ。ここは団地となっており、新しい家にギャラリーを構えた建物が並んでいる。龍泉窯、風山舎、東窯、元晴窯、STUDIO ECCOを観る。たまたま「第6回 陶里ヶ丘 ゴールデンウイーク 砥部焼フェアー」が行われていて、「5人のうつわ市 vol13」も開催されていた。手頃な価格のぐい呑をいくつも見つける。求めている物は白磁に呉須の砥部焼らしい物なのだが、現代的な作風の物も質が良く、ついつい欲しくなり、酔った頭で判断がつかずに長々とうろうろする。


坂を降りる頃には夕方で、陶彩窯、英峯窯を見て終わる。砥部焼伝統産業会館でもらった「砥部焼 窯元めぐり帖」には砥部町郊外を含めると83箇所も掲載されている。多い。半日では限りがある。それでも、砥部町で砥部焼を見たというスタンプを押すような実績を、買ったぐい呑が証明してくれるので、空虚な満足はないこともない。なにより、情熱は少ないが、時間が足りないと思えるほど楽しめた。

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