4月12日(金) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで山本薩夫監督の「忍びの者」を観る。

広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで山本薩夫監督の「忍びの者」を観る。


1962年(昭和37年) 大映(京都) 104分 白黒 35mm


監督:山本薩夫

出演:市川雷蔵、藤村志保、伊藤雄之助、岸田今日子


なんだか落ち着いて観ていることができなかった。忍者の物語らしく、手裏剣を投げたり、撒菱をばら撒いたり、木に隠れている間に上着だけを置いて変わり身したり、術というか技というか、子供の頃にわくわくした忍者の行動が今では、子供だましに見えてしまった。


忍者の物語らしく、カットのつなぎがやや早く感じて、市川雷蔵演じる石川五右衛門が堺の遊女と関係を深めていくカットは、単純で、味気なく感じた。


忍者らしい体さばきや、アクションは見ごたえはあるのだろうが、そこに嗜好をそれほど持たない自分は、よく撮れているのだが、それほど表情は変えられない。


ただ、天井に忍び込み、錐みたいな物で細い穴をあけ、糸を垂らして眠っている織田信長の口元に近づけ、毒の水滴を垂らすシーンは、なぜか「ミッション・インポッシブル」を思いだし、うまい演出だと感心した。


自分にとっての見ごたえは、市川崑の「炎上」で吃音の主人公を演じていた市川雷蔵の変わり映えと、忍者の頭領よりも、もはや妖怪になっている伊藤雄之助だろう。


女にだらしない忍ばない忍者に、同様に女にだらしない忍者の頭領の人物像や互いの関係などに、疑問と感想は浮かぶが、あまり気にせず、放っておきたくなる。素早いショットであちらこちらに走る市川雷蔵が、この映画の変わり身の早さを象徴している。

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