4月7日(日)広島市中区三川町にある「ゲルニカニシオ」でステーキランチを食べる。
広島市中区三川町にある「ゲルニカニシオ」でステーキランチを食べる。
広島市現代美術館の帰りに腹を空かしていたので、見慣れないこの店にふらっと入った。
中央の太い柱を囲む四角のカウンター席に、店内はいくつもテーブル席があり、空間にゆとりがある。ティファニーブルーのような色が調度品の基調となり、店名にもなっているピカソの「ゲルニカ」や額無しの絵画が飾られていて、西洋の磁器人形も置かれている。天井の高い角で大きいJBLのスピーカが控えめに洒落た音楽を流し、カウンターにはターンテーブルと機材がある。
パーティー会場としては、格好のつく場所だろう。ただ、ランチを味わうには、今日の昼時はあまり好ましくはなかった。
14時をまわってからの入店だったから、給仕さんは少し疲れていたのか、それとも何かしらの事情が頭を占めていたのか、すこし言動に違和感を覚える。急いているのか、注文のやりとりが、すこし噛み合わず、互いに言葉をかぶせてしまう瞬間が二度あり、自分も疲れていたから、つい押し出してしまった。
スープはベーコンとコンソメ味だ。脂が多く、それが甘くも、ぎとぎとして塩っ気が強い。食欲をかきたてるよりも、奪うような役目となり、サラダで中和するかたちとなる。サラダはしゃきっとしておいしかったので、すぐに食べ尽くし、それからスープを飲むと、底に色々な食材の滓が出てきて、黒胡椒の味が強くなる。
肉が運ばれる、ついでにライスもくる。パンを頼んだのに。給仕さんは無言で料理を置いて去ってしまったので、あとからパンも持ってくるのかと少し待ってから、問いかける。これがよくない。パンですねと、さらっと応えて行ってしまう。一言ではなく、二言が足りない。
厨房の人がパンを運んできて、一言そえる。これは、店に入りたての新人でも、ファストフードでも、のんびりした店でも、誰でもあたりまえのようにつける言葉だろう。給仕の人は、何かあったのだろうか。
ステーキは、端の肉は赤身の少ないぱさついたミディアムで、真ん中の肉は、火に生かされなかったようなレアだ。味が弱く、味付けも弱く、平凡だ。コンサートでヴァイオリンを聴き、可も不可でもない楽器の音色を聴くように、良くも悪くもないステーキだ。玉ねぎのソースも、風味に変わったところがない。
昼過ぎの空腹がそうさせたのか、動きにあせりのあった給仕さんがそうさせたのか、なんだかすっきりしないランチだった。焦げたブロッコリーが、舌にポロポロしたあと、いただいたキノコ、エリンギだっただろうか、それが最も素直に自分を襲った味だった。
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