前のエピソード――３月３１日（日）広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ多目的スタジオで「MONO第４６回公演はなにら」を観る。

広島市中区小町にあるカレー屋「ナンディ」でダルとトマトのベジカレーを食べる。

夕方に何かを食べたくて、入ったことのない麺屋へ向かうと、開いておらず、この時間は割合閉めている店が多いからと考えながら、たしかな味のこの店の前を自転車で通ると、意外なことに開いている。

中に入ると、やや薄暗く、静かだ。普段はお客さんで一杯だから、オープンの板が入り口にかかっていたけれど、もしかしたら間違いではないかと思ったら、店主さんがむくっと動き出して、営業中だとわかる。

カウンター席に座り、目についたメニューの注文をただちにする。

書いてある説明どおりに味を辿る。野菜だけなのに、このカレーは確かにコクがある。ダルの豆類特有の腹にたまる質量とは別に、味全体に厚みがある。ウメ酢がそうさせているのか、濃厚というわけではなく、何かの手品により、食材と調味料がそれぞれの風味を相殺せずに、積み木のように重なり、味が出来上がっているようだ。ドライミントも手伝っていそうだ。

生のトマトはまた違った酸味と甘さがあり、スモークのオクラも香ばしく、人参は食感が良い。やっぱりナンディは、ここでしか食べられないカレーがある。

夕刻の日差しが窓から差し、お客は誰もおらず、木のテーブルとイスが黙念と空間を語り、本当にインドに来たような実感を感じた。

困ったらナンディ、決して裏切らない味と、雰囲気がある。