3月17日(日) 広島市中区大手町にある広島県民文化センターホールで「第19回ジャンボ衣笠たっぷり会 立の家猿之助・ジャンボ衣笠 二人会」を観る。

広島市中区大手町にある広島県民文化センターホールで「第19回ジャンボ衣笠たっぷり会 立の家猿之助・ジャンボ衣笠 二人会」を観る。


番組

一、落語 真田小僧:満福亭 おかわり

二、落語 ハル子とカズ子(桂かい枝 作):ジャンボ 衣笠

三、落語 宿屋仇:立の家 猿之助

四、コント さよなら老人ホーム:コント・土岐の城

五、落語 ほねつぎ蔵(立の家猿之助 作):立の家 猿之助

六、八五郎出世:ジャンボ 衣笠


先月に観た古今亭菊志んさんの独演会の時に、ジャンボ衣笠さんがいた。舞台で後援会の説明をすこしする場面があり、その姿にただならぬ雰囲気を感じたので、今日はその姿を確かめに来た。


満福亭おかわりさんは「真田小僧」を演じ、ついつい先月に観た菊志んさんと比べて、あらゆる点で違うものだと思いながら観ていた。ほころんでしまうほどの愛くるしい顔のおかわりさんで、愛嬌があるも、やはり落語は難しく、演じ分けが足りず、登場人物の境界線はぼやけていた。それにこの演目そのものがそれほど気にいるものでないのもあり、やや物足りなかった。


次にジャンボ衣笠さんが登場して、この人は面白かった。お品のある語り口ではなく、そもそもそんな雰囲気は前に観たときもなかったが、威勢のよいわけでもなく、少ない落語家の映像経験から借りると、立川談志のような飄々とした感じにあてはまり、あれほど毒のあるわけではなく、もっと親しみがあるも、話の持っていきかたはうまかった。


ふと、ウクライナのキエフで、現地の人々と会食した席で、日本のアネクドートはないか、と尋ねられたことがあったのを思い出した。アネクドートはいわゆる落ちのある短い小話で、自分と嫁さんは顔を見合わせてから、苦笑いしつつ、アネクドートはないんだ、と答えて笑われたことがある。


アネクドートはいくらでもあるのだと、ジャンボ衣笠さんのはなしに、間違いを犯したことに気づいた。どうして落語やコントにおもいあたらなかったのか。


それはともかく、エスプリともいえるほど気味のよいはなしの連続で、満場は笑いが絶えなかった。あまりに面白いから、仲入り後の「八五郎出世」のしんみりする場面で、感覚の狂った観衆がむやみに反応して笑い、それに失笑するほどだった。広島弁爆笑落語、と肩書にあり、たしかに広島弁は使われるが、語り口は江戸の落語で、そこに広島弁の情味がそっと添加されているくらいだった。


大阪から来た立の家猿之助さんは、声の大きい快活な上方落語で、大阪弁のきっぷのよさに、アマチュアとは思えない芸風があった。病院の院長さんらしく、自分の家業を昔にあてはめて自作の演目を演じたが、この演目自体がよく出来ていて、非常にうまいのだ。「宿屋仇」も演じ分けがはっきりしていて、運びも軽快でよどみなく、はなしが長いから眠くなるところがあるも、完成度がとても高かった。


入場料999円で、この内容だ。たっぷりの演目に、本当に満足した。

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