2月24日(日) 広島市中区榎町にある焼き菓子のお店「コナサン」で菓子を買う。

広島市中区榎町にある焼き菓子のお店「コナサン」で菓子を買う。


嫁さんが知り合いで、時折たくさん買ってくるのを食べていた。誕生日ケーキを買ってもらい、果実が宝石のように散りばめられたそれを見て、視線を上下に動かし、恐れ入りながら食べ、フルーツのかけらがそれぞれ色の異なったシャボン玉のように弾けてはっきりした彩りを口に広げて潤ったのを覚えている。


近くにあるというから自分も買おうと何度か訪れようとしたものの、場所がわからない。家からも、職場からも近いらしいのに、探し当てられない。どこにあるのか、短くない期間不思議だった。先月も探したが、やはり見つからず、今日はグーグルマップでしっかり印をおさえてから行った。前回探したところから1ブロックずれていて、反対側だった。そして2階だと勘違いしていた。


いちごのクラフティ、ネーブルオレンジのチョコのタルト、全粒粉とくるみのスコーン、ココアとチョコのスコーンを買った。嫁さんの知り合いが作る食べ物は少なからず、類は友を呼ぶというか、素材を大切にし、変に飾らず、素直で存在感のある味わいがある。


てんとう虫のようなクラフティは、がっちりするもさくさくしたタルト生地に、見た目を裏切らないいちごの溶けた甘酸っぱさと卵の甘さが優しいカスタードがとろけあう。


ネーブルオレンジは、甘くも爽やかな苦味に支えられた柑橘が甘いチョコと良い意味でぶつかりあう。甘さに甘さが加わるような性格ではなく、風味の確かなフルーツで酸味や苦味を効果的に織りなしている。


そしてどちらの生地も香り豊かだ。バターが、小麦が豊かなのだろう。生地は軟弱ではなく、滋味の豊富な土のようにたくましい台となっている。


スコーンは落ち着きがあるも、たしかな風味が生きている。ほどよくしっとりした全粒粉は全体的に麦の味わいが豊かで、さらにくるみがはっきりした存在を示す。ココアとチョコはより密度のある生地で、甘さよりも、香りが静かに広がっていく。


なんて考えながら食べるよりも、そのままのおいしさで表情を緩めるのが良いのだろう。良い知り合いばかりで、良い影響を与え合っていると、食べながら感心してしまう。

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