1月16日(水) 広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ多目的スタジオでOrganWorksの「聖獣~live with a sun~」を観る。

広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ多目的スタジオでOrganWorksの「聖獣~live with a sun~」を観る。


振付・構成・演出:平原慎太郎

舞台監督:筒井明善

照明:櫛田晃代

音響:原嶋紘平


キャスト:平原慎太郎、柴一平、東海林靖志、佐藤拓哉、浜田純平、薬師寺綾、町田妙子、小松睦、高橋真帆、渡辺はるか、栗原麻里子、中田絢子、横山未弥


久しぶりにダンスを観た。大植真太郎さんと森山未來さん、それに平原慎太郎さんによる談ス・シリーズ第三弾を去年観て、それ以来だ。


その時の出演者である平原慎太郎さん主宰のOrgan Worksによる舞台だ。


コンテンポラリーダンスを観たことのある経験が少なく、動きに対して、どのような単語があるのか知らないので把握できない。それでも、肉体と肉体の動感溢れる融合や分離の推移に、より生々しい会話を感じられた。呼吸と脈動は熱を帯びて、ばらばらのようで緻密に構成されたなかで、それぞれの性格を持ったキャラクターが踊り続ける。肉体と汗が光り、虫であるからこそ原生動物の持つ特徴を感じ、それは人間の皮膚に覆われていない部分を、例えば鏡の前で舌を出し、まざまざと見れば、なんて気味悪いものだろうと不安になり、さらに口内を調べれば、およそ日常の人間性とかけ離れたまったく異なった肉と色が広がり、皮膚に覆われた部分はわずかで、多くはこの人間とかけ離れた肉で出来上がっている自分に気付かされる。


そんな原生的な、いわば生殖的なイメージを、無機質なようでまるで機械のように乾いた虫の踊りから想起させられる。生命に忠実だから神経的に動き、止まったり、動いたり、息絶えたようで、絶えず、再び動き出すのは、胴が離れても動き続ける、人間とは異なった理解に苦しむ生き物の余計なもののない本能によるもので、それは冷徹なまでに直情的で、自然というよりむしろ不自然なくらいだ。どうして人間の存在するよりもはるか古代に、こんなコンピューターのような種が存在していたのだろうかと、不思議になる。


正直、談スも良かったが、聖獣のほうが自分は好ましかった。ストーリーがよく練られていて、即興的な要素はないとしても、そのかわり世俗的な笑いははるかに少なく、何度も息を飲む演出で次元の差異を現出させていた。安い演出ですぐに笑う反応が起こるのは好きではない。場が一気に崩れる気がして、台無しの気分になる。そうなると、笑いを探そうとする観客が生まれて、変な笑いで俗っ気のある舞台におかされることがある。まるで、美術館で、理解できずに茶化して作品を笑う客のようにだ。


完成度の高い作品は本当に楽しめたので、広島でコンテンポラリーダンスの公演がもっと行われて欲しい。

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