12月7日(金) 広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ大ホールで「広島交響楽団新ディスカバリーシリーズ黄昏の維納」を聴いた。

広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ大ホールで広島交響楽団新ディスカバリーシリーズ黄昏の維納を聴いた。


指揮:下野竜也

管弦楽:広島交響楽団

コンサートマスター:佐久間聡一


スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲

シューベルト:交響曲第7番ロ短調「未完成」

シェーンベルク:浄められた夜


曲を聴いている最中は様々な想念が膨らみ、煩いくらいだ。コンサートが終わった後も、興奮と感慨に、集中してすり減った神経と空腹の血の気の多さが合わさり、やはり煩いくだいだ。


スッペにジョン・フォードの騎兵隊にマルセル・プルーストのサン・ルー。


シューベルトにマーラーと裸とやせ細った分裂気質の枯れたエゴン・シーレ。


シェーンベルクに若かりし才能あふれるワーグナーへの信奉者。


常に個人的な体験と経験を下敷きに、変化のきかないリズムと使い慣れた言葉だけで惰性的な感想を述べるだけにすむ。枠があまりにも狭く、融通なし。アスファルトに固執した黒い冬のガムのよう。ずらすには、逸れないといけないので、環境からの作用を待つか、自ら揺らすべきか。大きな塊に対して様々につついても、時間がずれればところもずれて、まったく違ったものとしてとらえるはずだ。


いつも素晴らしい演奏会だと感動して帰っている。そう思うも、違う時もあるのに。この日もそうだ。親和に満ちたものだった。


快活で健康に、明確な死に約束され、はみ出す前の若さが躍動する。それらを下野さんと広島交響楽団は、想いのこもった細やかさで演奏していた。

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