11月7日(水) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで黒澤明監督の「生きものの記録」を観た。

広島市映像文化ライブラリーで黒澤明監督の「生きものの記録」を観た。


原水爆への強迫観念にとらわれて突飛な行動をする父親と、振り回される家族との家庭裁判所での争いは、家族は真剣だが、関係者は呑気なものだったのに、調停後は、笑えない悲劇を迎える。


原爆、水爆への当時の反応はどうだったのかと考えさせられる。核への見解を述べるのは非常に困難で、徹底して憚ってしまうほど問題は複雑で巨大、かつ絶望にある。


危険な兵器……、わかっている。原子力発電所の存在は……、わかっている。存在すべきではない……、わかっている。わかっていることばかり。


わかっているがどうしようもできない、今の世の中で生まれた強大な力は思考を停止させる。それがそれぞれを責めたてるように思える。実際は何一つ深刻に考えていないのにだ。


核に対しての反応はこの映画の時も、今も変わっていない。自分を含めた麻痺した人間があり、誠実に反応する人間があり、問題を直視せずに言葉ばかりが先行する人がある。


無いほうがいい。そんなのは誰もがわかっていることなのに。


黒澤明監督の訴えをそのまま、皮肉をもって見聞きするようだ。

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