10月28日(日) 萩の鶴江の渡しを観る。

萩の鶴江の渡しを観る。


船倉を見せてくれたガイドさんが、道を降りたところに小さな小屋があり、そこで対岸に向かって手を振れば、小舟がやってきて、渡してくれると教えてくれた。


すぐに行ってみると、白い漁船の係留されたそばに小屋があり、川に近づいてみた。対岸に人が待っているであろう小屋があり、中年男性一人が手を振っていいものかと疑問に思いながら、すこしたたずんでから、小さく手を振ることにした。


反応がない。はたして人がいるのだろうか。それとも手の振りが見えないのだろうか。だからといって大げさに手を振るのも気がひける。女性やカップルなら話も弾むが、気難しそうな男一人のために、金もとらないのに、はたして来るだろうか。


やはり来ない。無視されたのだろうか。しかたがない。この面はゆい、居た堪らない気持ちはもう我慢できない。


小屋になにか貼ってあり、見ると今さっき昼の休憩時間に入ったばかりだ。


自尊心がかろうじて回復した。自分で勝手におとしめたのに。

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