10月28日(日) 萩の千秋楽城山を観る。

萩の千秋楽城山を観る。


宿の人に萩焼の窯元について訊ねると、萩駅南東にある大屋窯と、萩城跡の近くにある城山窯を教えてもらった。前者は雰囲気がとても良いとのことだが、離れているのでよほど時間に余裕のない限り今日の観光には組み込めず、後者は一般観光客が行けば満足できるところらしく、制作風景の見学も可能で、登り窯もあり、ロクロを使った制作体験もできるそうだ。


マクドナルドをあとにして、千秋楽城山に着くが、人はいない。観光客など誰一人おらず、作陶風景を見学できることはできるが、働いている人が一人しかおらず、ガラスを隔てているので話しかけることなどできない。そもそもこの場所は、気軽に話しのできる場所なのだろうか。


静かに止まった作業風景を観るのは、中国矯正展で広島刑務所を見学した時に、溶接作業場、印刷作業場の止まった職場を観たのと少し似ている。作業道具が整頓して置かれ、まだ道具の息遣いが残っているように思えるのは、乱雑ではなく、きちんとした秩序こそ人間の手にかかっている証拠だと納得させられるからだ。


とはいえ、活気がない。今は、陶器の出来上がる過程を知るよりも、様々な作品を観て、萩焼というものを知りたがっている。などと言い訳をしてすぐに場所を離れ、展示されている作品も眺めず、自転車へと向かう。行動と言い訳がみごとに矛盾している。


昨日の酔いと眠気が残っているから、観るよりも、朝の空気を吸って動いていたい。

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