10月27日(土) 萩の伊藤博文別邸を観る。
萩の伊藤博文別邸を観る。
松陰神社の近くに伊藤博文別邸はある。石垣の土台に家は建ち、向かいにはコンクリートで舗装された田んぼがある。
元内閣総理大臣の別邸にしてはこじんまりとしていて、内装は豪奢ではなく、欄間に透かし彫りなどの細工もなく、どこか白々しいというか、生気の通っていない感じがした。
その理由を訊くと、品川区大井に建てられた別邸の一部をここへ移築したからだそうだ。
常駐するガイドさんは、大きな声でツアー客に別邸について説明をするが、時間に限りのある彼らは話をそれほど聞かずにここをあとにしていた。一人自分だけがふらふらするも、なにか異様な雰囲気でも放っているのか、老年の男性ガイドさんは他の人達に対するように進んで話そうとしない。大袈裟な反応などせず、にこりともせず、無愛想な中年男性一人では語りがいはないだろうか。
それでもさらに話を訊いた。内容はだいぶ忘れてしまったが、亡くなる2年前に建てられたこの別邸に伊藤博文はほとんど住んでおらず、広大な敷地と屋敷を家族は持て余し、大手企業の所有となるも、保存に手間がかかるので取り壊されることとなり、その一部が萩市によってここへ移築されたとのことだ。
もとは畑であったこの場所に、異なった形で再築されたこの家はまだ馴染みきれていない気がした。それでも、萩市によって生かされた邸宅の一部は、いずれこの土地に馴染み、晩年の伊藤博文と別邸の辿った経緯を語り続けるだろう。
ガイドさんは、萩まちじゅう博物館のスタンプラリーがあり、4箇所以上集めてアンケートと一緒に投函すれば、特産品がもらえるかもしれないと繰り返し言う。
スタンプラリーには興味ない。スタンプの技巧は見るべきものだろうが、正直どうでもいい。それよりもプレゼントは何かと不躾な質問をすると、ガイドさんもぶっきらぼうな自分の質問に対してそのままの返答をする。
家を観るのもがいいが、ガイドさんを観るのもいい、などと思い始めた萩の最初の場所だ。
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