10月8日(月) 広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザ中ホールの「第三十九回市民能楽のつどい」へ行ってきた。

JMSアステールプラザ中ホールの「第三十九回市民能楽のつどい」へ行ってきた。


能楽について知りたい最近だから、初心者の自分にはちょうどよい催しだ。広島市内で活動している四流派が集い、連吟、仕舞、独吟を楽しんだ。


十時開演の、十七時三十分頃終演とあり、さすがに一日中はいられないと思いつつ、朝の開演に足を運んだ。プログラムをもらい、確認すると、午前中は能楽ワークショップの連吟が目立ったので、別の用を済ませてから、昼からの能楽ガイドに再び来ることにした。


観世流、宝生流、金剛流、喜多流の能楽師が舞台に揃い、それぞれの流派の扇の運びや、謡の特徴を比べる。これが本当に面白く、為になった。流派さえ覚えていなかった自分は、この能楽ガイドで流派の名前を、簡単な特徴で覚えた。観世流と金剛流は似ていたが、喜多流は扇の運びが少し複雑で、宝生流は右手だけを使う。謡も観世流と金剛流は似ており、喜多流もそう違わないが、宝生流だけは同じ言葉も、より違った謡で、上がり下がりが他より目立って違った印象を受けた。


それからは、連吟と仕舞を楽しみ続けた。途中で飽きると思ったが、気づけば最後までいた。


(観世流 連吟)広島集杉会

杜若


(金剛流 仕舞)

笠之段 鐘之段 小鍛冶 遊行柳


(喜多流 仕舞)喜雲会

草紙洗小町


(観世流 仕舞)

松風 雲林院 昭君


(観世流 連吟)広島観風会

弱法師


(喜多流 連吟)広島邦生会

鞍馬天狗


(喜多流 連吟)鈴謡会

黒塚


(金剛流 連吟)豊雲会

安宅


(宝生流 仕舞)

胡蝶 羽衣 玉葛 枕慈童


(喜多流 連吟)広島大島会


(喜多流 仕舞)広島大島会

敦盛


(金剛流 独吟)豊雲会

定家


(喜多流 連吟)広島明生会

土蜘蛛


(観世流 連吟)能楽ワークショップ若竹の会

葵上


(喜多流 連吟)広島明生会

玉葛


(宝生流 連吟)

芦刈


と、番組は多く、初心者に必要な素晴らしいテイスティングを味わわせてもらった。仕舞にはあらすじ解説もついていたので、曲についてもいくつか知ることができた。


この謡はああだ、この謡はこうだ、この舞はああだ、この舞はこうだ、と、判断はおぼつかなくても、なんとなくそれらしい違いを見つけていくのが本当に楽しく、嬉しく、ああ、この舞はまだまだかもしれない、この舞は落ち着きがあり、表情も個人的な感情などが抜けているようだ、などと、初めて謡と、舞の味わいを見つけた気がした。


覚えたてというのは、本当に楽しい。おそらく、能楽は一生飽きずに味わい続ける芸能だと直感する。神楽は今の趣味に合わない。やはり比べてしまい、芸の性格の違いがはっきりしている。どうしても雑になり、熱狂的な神楽の舞も悪くはないが、娯楽の要素が強く、演出も派手で、滑稽な登場人物が出ると、舞台が弛んでしまい、退屈してしまう。


断定的な物言いが出るから、今は盲目的に好んでいるのだろう。もう少し能楽を知り、落ち着けば、他の古典芸能への見方は変わっていることだろう。


来年はどんな姿勢で催しに望むだろうか、楽しみだ。

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