Dream Doctor ~夢を喰らう魔物~

作者 織姫

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★★★ Excellent!!!

「Dream Doctor」

本作のタイトル。いいタイトルです。まさに本作のシナリオやテーマをひとことで表していると感じます。現実から夢の中に意識が移行する物語です。だから皆様もご存じの「獏」も出てきます。では「Dream Doctor」とは夢のなにを治療する者なのか。わくわくしながらプロローグへ進んでいただければと思います。

「Dream」の世界でもあるにも関わらず、その世界は現実と繋がってきます。主人公の大門直樹(Dream Doctor)をはじめとして、そのアシスタントアンドロイドのカレン、他のDream Doctorなど、夢の世界の中だけでの活躍では終わらず、現実世界のサスペンスでも大活躍の舞台が与えられています。このミックスがとても面白く、良質なサスペンスバトルを大いに楽しませてくれること請け合いでしょう。

本作の最大の見どころは人間関係の連環です。シナリオは全て、一人の人間に繋がってきます。その人間に対する愛、嫉妬、憎悪、そして希望。全てが相まって引き起こされた、「Dream」を題材とした悲劇と昇華の物語。その人間の正体は読み進めるうちに明らかになりますので、各キャラクターがその人間に対してどのような感情を抱いているかを想像しながら読むと三倍も四倍も楽しめると思います。個人的にお勧めのキャラクターはアンドロイドのカレン。時には親のように、時には恋人のように、そして時には信頼できるマスターとして直樹と関わってくれる彼女の多面性を微笑ましく読ませていただきました。皆さんにも彼女と出会っていただきたいです。

そして……。
物語の見どころは前述のとおりなのですが、物語外の部分で「登場人物紹介その3」には大きく心を動かされました。作者の織姫さんからのご挨拶です。読み終わった後、このご挨拶も作品の一部なのかもしれないと感じて胸が熱くなりました。

これは「Drea… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

夢の中に現れて心を喰い漁る獏。
主人公の直樹は助手のアンドロイドのカレンと共に、人の夢の中に入ってそれを退治し正常化するDream Doctor(ドリームドクター)。通称D.D。

まずこの主人公が置かれている立場がすでに面白いと思わせる。
これだけでも十分な引き込みがある。彼らの活躍を見ていたい。けれどもそれだけじゃあない。行く先々で次々に事件が起きて、その度にミステリーが置かれていく。獏はどうして凶暴化したのか。主人公の過去とは。舞台の裏で暗躍しているものはなんなのか。続きが気になって仕方ない。
そうやって読み進めていくと、事態はさらに速度を速めて展開していく。
物語が核心に触れたとき胸に去来するものは希望か絶望か。


舞台は未来。テクノロジーが進み、アンドロイドも当たり前に動く世界。
しかし、戦いの場所は夢の中。
夢は人類が生まれてからこの方、ずっと傍にあるものだ。いわゆる旧時代の象徴。
主人公が住まう舞台と戦いの舞台が新旧の対比になっている。
この対比は、作中のテーマのうちの一つと合致する。
つまりは設定がテーマに寄り添い絡み合い、がっちりと芯を通しているのだ。これは揺らがない。揺らがない故、そこから逸脱したことをやれない難しさも持ち合わせている。
だがこの作品はそれを見事にやり果せている。


物語の展開、アッと驚く構成、設定とテーマ……色々な魅力があるこの作品だが、一番の魅力はやはりキャラクターなのだと思う。
キャラクター1人1人の過去の作り込みが凄まじく、またそれが使い捨てではない。最初から最後までメインストーリーに絡んでいる。だからこそキャラクターたちの言動や決断や行為に一切の矛盾がない。ストーリーに動かされていない。今ある状況を打破するために、キャラクター自身が考えている。少なくとも私はそう感じた。
過去が無ければ今が無く、今が無ければ未来がないという… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

人の心に巣食う獏に対し、その心をデータ化することで干渉して倒す。

おお、大丈夫かなこれ。私の頭でついていける? とかなり身構えたんですが、各要素はしっかりSFの体なのに、全てを繋げるとファンタジーでした。獏そのものがファンタジー色が濃いことも手伝ってくれて、するするーっと読めてしまいます。

ストーリーはどっしり重い。怪退治のSFバトルかと思えば、キャラクターそれぞれの過去に踏み込み内側を描き出す。全員が全員こんなに重くて大丈夫? これどこに行くの、とハラハラ見守りましたが、重すぎる空気は大体『お利口さん』なアンドロイド、カレンちゃんが吹っ飛ばしてくれます。

欲を言えば、彼と彼女のこれからが気になるところ。エピローグの楽しい空気は微笑みを誘います。

★★★ Excellent!!!

 人間の心に平穏がなくなりつつある、近未来。そんな人々の夢に、獏が登場するようになった。それは獏札でも有名な、悪夢を食べてくれる架空の生き物、のはずだった。しかし獏は凶暴化し、数を増幅させ、人の心を蝕み、食べるようになった。そんな獏を撃退するのが、Dream Doctorである主人公の役割だ。人々の夢の中で獏と戦い、消去する。
 しかし、ある任務の際に、主人公の傷に獏の爪が残された。つまり、夢の中の架空の生き物であるはずの獏が、現実に干渉し始めたのだ。
 そんな中、主人公はある森の深くに獏の本当の姿を見ることになる。
 そして、今まで敵対していた獏の方が、被害者であることや獏の大切な人を奪った過去などが明らかになる。主人公の最愛の人や師も、このことにかかわっていたのだが……。
 人間とアンドロイド。
 人間と獏の復讐の過程。
 師弟。
 様々な関係性が絡み合い、対立構造が際立つ中、物語は癒しと許しへと向かていく。きっとこれは、人間の可能性と希望の物語。SF的世界観の中でも、人間の本質を問い直すだろう。

 是非、御一読下さい。

★★ Very Good!!

プロローグを読んで、この物語はどう展開していくのだろうかと気になり、あっという間に最新話まで読ませていただきました。
直樹の風花に対する思い、彩の直樹に対する思い、また、風花は本当にいなくなってしまったのか……続きが気になるところです。

個人的に気に入ったところは「対峙」。ゲーム感覚で読んでいました。普段は無邪気なカレンも、ここでは打って変わって格好いいキャラクターに変貌していました。