Dream Doctor ~夢を喰らう魔物~

織姫

プロローグ



 果てしなく続く、無機質な白い空間。だだっ広いその空間に俺は立ち尽くしていた。

 あぁ、またこの夢か。一番最初に思ったのはそれだった。何度も何度も見た、嫌な夢。


 目の前にはもう一人の自分。"誰か"に向かって、まるで駄々をこねる子供のように泣きながら怒鳴っている。

 "誰か"なんて、そんなこと考えるまでもなく分かっているくせに、脳が認識したくないと拒絶していた。それでも無慈悲に"彼女"は、泣き叫ぶ"俺"ではなく、立ち尽くしている俺の目を真っ直ぐ見つめて言った。


「ごめんね、あなたにこんなことを背負わせて」


 頼むから、そんな目で俺を見ないでくれよ。そんな悲しそうな顔して笑わないでくれよ。

 頼むから、もう一度触れさせてくれよ――風花ふうか


 生暖かい雫が頬伝ったのを、俺は気付かないふりをした。

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