第229話【美しい願い】

「・・・・・・・・・・決まったよ」

”答えを聞こう”

「・・・・・ファウストの幸せと私の想いを考えてみたんだ」

”それで?”

「私は・・・ファウストの幸せを踏み躙って私の想いを叶えたいと思えなかった」

「・・・それはつまりファウストを生き返らせないと言う事か?」

「・・・・・」


こくりと頷くグレートヒェン。


「じぶんがゆうせんでもいいとおもうよ?」

「駄目だったの

どんなに考えても自分が良ければそれで良いとはならなかった・・・

私は彼と一緒に生きたい・・・

でもそれをファウストが望んでいないのなら・・・」


ぽろぽろと涙を流すグレートヒェン。


「ファウストの幸せを考えるとは余裕だな

それだと私との約定を破る事になるぞ」


怒気を発しながらメフィストフェレスが言う。


「うん・・・だから私の願いはこう・・・」


グレートヒェンが前を向く。


「皆、 幸せになってほしい」

「・・・・・は?」

「え?」

「うん?」

「へ?」

「子供かよ」

「???」

「・・・・・」

「ば、 ばかな!?」


一同に驚いたり呆けたりする。


「みんなしあわせに!?

それはつまりいんがりつをいじくるってことか!?」

「因果律?」

「なにかをすればなにかがおこるってことさ!!

なにかのけっかをすべてしあわせになるって

それはいんがりつをいじくることにほかならない!!

そんなのめちゃくちゃだ!!」

”それが外術だろう”

「いや・・・しかし・・・

これはあきらかにひとがもっていていいれべるをこえている!!

わがあるじですらいんがりつのかいざんはむずかしいというのに!!」

”確かに難しい願いだ、 だがしかし思いの力が全てを凌駕する”

「おもいのちからだって!? それならわがあるじも・・・」

「そうじゃないと思うよ、 たいしとやら」


ゾルゲが突っ込む。


「なんだって?」

「君の主、 始原の魔法使いは他者を省みず自分だけだろう

だけど人が他者を想う力っていうのはもっと強いんだよ」

「ありえない・・・なんだそれ・・・

たにんをたすけたいというのもけっきょくはじぶんのよくぼうだろう?」

”さて願いの中身は決まった、 次は形を決めよう”

「形?」

”外術の名前だよ”

「そうだね・・・・・【この幸せよ、永遠であれ!】と言うのは如何だろうか?」

”良いと思う、 それでは始めようか”

「うん・・・」

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