第206話【終わらない】

薙刀を振り回すメフィストフェレス、 スクラッチも槍で応戦するが

互いに一進一退の膠着状態になっている。


「なぁ、 おいメフィスト、 何で王に味方するんだ?

お前の様な奴が王に味方する理由が全く分からないんだが」


少しでも隙を作ろうと会話を試みるスクラッチ、 答えるだろうとは思っていない。

メフィストフェレスと会話が成立した事は無いと言っても良いのだ

この問いも黙殺されるだろうと踏んでいたのだが・・・


「勿論ファウストの為だよ」

「は? どういう事だよファウストはもう死んで」

「あのファウストの遺体を見てもまだそんな事が言えるのか?

アレは死体では無い、 ファウストの体はまだ生きている

ファウストの魂と精神は死を望んだがファウストはまだ生きている

魂と精神を貪ってファウストの体は復活するだろう

現にファウストの体がフォースタスを乗っ取り始めている

最早フォースタスでは無くファウストの体だ」

「何を言っている・・・」

「ファウストが死んだあの日・・・私はファウストの体を回収するつもりだった・・・

ファウストの体を回収して新しいファウストを作る予定だったんだ」

「新しいファウストだと・・・?」

「そう・・・ファウストは強く優秀な男だった

私の子の父親になるべき人間だった」

「それはファウストに惚れていたと言う事か?」

「そんな低俗な次元で話をするな、 愛とは唯の肉欲でしかない

私は奴と子を成したいと考えている

優秀な私達の子供は天を突き抜け始原の魔法使いに手が届く存在になっただろう

だがしかし奴は生き物としてやってはならない事をした

生きる事を放棄したのだ、 もしも愛とやらで私が動いていたのなら

この時点で愛も冷めるだろう

私は子を成すと言う生き物として当然の事をしている」

「獣と何も変わらない」

「人間とは獣と大差無い、 我々人間程恐ろしい獣は存在しないのだよ」

「それは同感だ・・・それで何で王に協力するんだ?

まだ質問の答えを貰えていないぞ?」

「あぁ・・・奴にはファウストがこの世に再誕する為の贄になって貰う

要するにファウストの死体を全て奴に取り込ませて新しいファウストを生み出す苗床になって貰う

だからまだ死んでもらっては困るんだ」

「なるほどね・・・要するにファウストと子作りがしたい

だから王にファウストの死体を全て集めさせてファウストにして

王とヤる、 と言う事か?」

「言い方という物があるだろう、 オブラートに包んでくれよ」

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