第169話【心の裂き方】

ストーンが気絶した事により外術【酒池肉林】の手が消えて行った。


「ふむ、想像よりも弱いな」


瞬間移動してファウストの頭を回収するグレートヒェン。


「さっさとお前達を殺して盗賊達の所に行かせて貰おう」

「言わせておけば!!」


クレールが銃を構える。


「待てクレール」


デルがクレールを押さえる。


「私がやろう」

「デル、アンタの外術じゃ勝てない!!」

「君の外術でも無理だ、格付けはさっき終わっている」

「くっ!!」

「何方でも良い、二人纏めて来るか?」


剣を向けるグレートヒェン。


「外術【溶溶漾漾】」


そう言うとデルの体が大量の水になる。

そしてグレートヒェンの元に向かって来た。


「っ・・・」


グレートヒェンはバックステップで後ろに飛んで行った。

水は追って来ないが、水がストーンの体に触れると

水の中に溶け込む様にストーンの体が消えて行った。


「何・・・」

「うわわ!?私も!?」


クレールの体も沈み込んで行った。

ついでにダニエルの死体も


「しまった!!逃げる気か!!えぇい!!」


水に向かって刃を突き立てるグレートヒェン。

当然ながら意味は無い。


「~~~っ!!ローズオーラ!!盗賊達の元に向かうわよ!!」


愛馬を呼び盗賊達の下に走らせるグレートヒェンだった。





一方その頃、デル達はどうなっているかと言うと・・・


「・・・デル、ここは?」


クレールは自身の目の前に広がる光景に当然の疑問を抱く。

まるで海の底、だが息苦しさは無い。


『私の外術、溶溶漾漾だ、この外術は自身を大量の水にして

その水の中に触れた任意の対象を溶かして水にする事が出来る外術だ』

「こんな使い方も有るのね・・・気が付かなかった・・・でも如何するの?

これで如何やってあの女に勝つって言うの?」

『・・・・・勝てない、だがこれで負ける事も無い』

「はぁ?」

『ここは一旦退いて機会を待とうと思う、もっと修練を積めば

外術ももっと強くなる、死んでも仕方ない、逃げるのも悪くない』

「・・・・・」


クレールは悔しそうに頭を抱える。

そして目を開く。


「良いわ、次に会う時はあの体をバラバラに引き裂いてやる」

『その意気だ、では一旦安全圏まで移動するぞ

移動したらダニエルの死体とストーン

そしてお前を出してやろう』

「えぇ、頼むわ」

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