第113話【流浪の銃士は空気を読まない】

「っ!!」

「いい加減に止まれ!!」


スクラッチがササキを追い始めて早10分、ササキが端正な顔を歪め始めた。

後ろ向きで全力疾走と言う曲芸をしながら『燕返し』と言うカマイタチを出している。

そんな事を既に10分も続けている、流石に疲れが見え始めて来た。

今までの敵ならば一刀の元に処断出来たのに一体何なんだコイツは?

疲れが全く見えない、隙あらば此方を殺そうとして来ている。

その上カマイタチを全部避けている、更に通りすがりの雑兵を殺している。

全力疾走しながらカマイタチを避けて雑兵を殺しながら隙有らば殺そうとしてくる?

後ろ向きで全力疾走しながら戦っている自分とどっこいどっこいの曲芸だ。

「何で疲れないんだ!?」と絶叫したい、だがそんな体力も最早無い。

脂汗と冷や汗が止まらない

勝負をしかけたいが間違い無く殺される、ならば・・・

窓ガラスに向かって飛び込む?

駄目だ、方向転換の為に一瞬足を止める

どんなに些細な時間でも立ち止まれば槍で殺される。

逃げは死に直結する、ならば!!


「うおおおおおおおおお!!!」

「らあ!!」


逆に前に走るササキ、槍で胸を貫かれる、しかし急所は外れた。


「とったぞおおおおおおおおおおおおお!!!」


抜刀するササキ、カマイタチは出せないが

この状況ならば一刀の元にスクラッチを切り伏せられる。

相打ち覚悟の一撃だった。


「こちらがな」


パン、と乾いた銃声が響き脳漿をぶちまけるササキ。


「・・・・・おい、何でお前達がここに居るヴァーグナー

ノートゥ、メフィスト」


倒れるササキの後ろに居た3人に声をかけるスクラッチ。


「メフィストの呪殺が失敗した、かもしれない」


黙っているメフィストフェレスに代わり説明するヴァーグナー。


「かもしれない?如何いう事だ?」

「呪殺が途中で掻き消えるなんて初めての経験らしい」

「ふん・・・もう一仕事と言う訳か

ミヤモトとか言う奴でこの4人どっちに分が有る?」

「・・・・・どっこいどっこいかな?」


ふんと鼻を成らずメフィストフェレス

自分が居るから大丈夫だとでも言いたいのだろうか。


「随分な自信だな・・・じゃあヴァーグナー、敵の大将が居る所まで案内頼む」

「あぁ分かった付いて来てくれ」


ヴァーグナーの先導で先に進む4人。

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