第86話【流浪の銃士は重罪人と対面する】
友の見舞いを済ませたヴァーグナーは
王国首都シュタウフェンの特別監獄にやって来た。
「ヴァーグナー様、お待ちしておりました、例の罪人は奥に」
「うん」
看守の先導で鉄格子越しに目当ての少年と出会った。
少年の壁の方を向いていた。
「ジェラール卿、面会です」
「・・・・・」
ジェラールと呼ばれた少年は此方を向く、貴族の少年だったが
今では重罪人でやつれており、病んだ眼をしている。
「・・・誰です?」
「銃士ヴァーグナー」
「・・・・・誰です?」
「貴方をここに連れて来た槍使いの仲間、だと言えば分かります?」
「!!」
ジェラールは立ち上がり鉄格子を掴んで叫んだ。
「ミシェルとクレールは無事なんですか!?」
「鉄格子から離れろ!!」
「お願いです!!教えて下さい!!彼女達は!!」
看守の警告を無視して叫び続けるジェラール。
ガン!!と鉄格子毎掴んだ手を蹴るヴァーグナー。
「黙れよクソガキ」
「うわああああああ!!」
指から血がポタポタと垂れる。
「君でも流れる血は赤いんだなぁ」
「当たり前じゃないですか!!」
「君の様な気狂い、青い血でも流れてても可笑しく無いよ」
「痛い・・・痛い・・・」
指を押さえ蹲るジェラール。
「そんな事よりもだクソガキ、お前に聞きたい事が有るんだ」
「一体何だって言うんだ!!僕に一体何を聞きたいんだ!!」
「痛いか?」
「痛いに決まっているじゃないか!!」
「ボーイトも痛かっただろうに」
「・・・え?」
顔を上げるジェラール。
「覚えているだろう?」
「・・・誰の事です?」
「忘れたのか?ならフィリップは?」
「・・・・・」
首を振るジェラール。
「ヤルナッハは?」
「知りません・・・」
「シャルル、グノー、ブゾーニ」
次々と名前を出す、ヴァーグナー。
「知らない名前ですね」
「そんな訳は無いだろう、まさか知らなかったのか?」
「一体何の話ですか・・・?」
「お前が殺した義勇軍のメンバーだよ」
「彼等は父の仇です!!」
「違うな、君の父の友人だ」
「何を言うんですか!!彼等が強ければ父は死なずに済んだんです!!」
「救えん餓鬼だな、お前の様な無関係の奴がしゃしゃり出て来るな」
「無関係!?僕は父の息子ですよ!?」
「では何処まで関係しているか幾つか質問をしようではないか」
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