第71話【謁見の間にて】
「王様、話と違うのでは無いのですか?
腕利きの騎士二人と聞いていたのですが腕が立ちそうなのは
こちらの方だけでは有りませんか」
フランクを殴って血塗れになった手を拭きながら尋ねるファウスト。
「・・・・・何故フランク男爵を殴り飛ばしたのです?」
当然の疑問を口にするグレートヒェン。
「あまりにも気を抜いていたのでね、試しに攻撃してみたのですが・・・
まさかクリーンヒットするとは・・・生きてます?」
フランクは顔面が陥没し血が噴き出し続けている。
血の染みは絨毯に広がり汚し続けている。
「・・・・・」
フォースタス王はベルを鳴らし従者を呼びフランクを下がらせた。
「国王陛下、彼が勇者の・・・」
「ファウストだ」
「そのファウストさんは何故いきなりフランク男爵を殴ったのですか?」
「強さを確かめる為と本人も言っただろうに」
「いや、だからと言って」
「仕方のない事なんだ、彼を我が麾下に迎えるに当たり
余は彼に強い仲間を揃えると約束したのだ
それなのにこんな軟弱だとは思わなんだ」
「・・・・・」
「噂では相当の騎士と聞いていたが・・・」
「フランク男爵の名誉の為に言いますが彼は軟弱では無りません
国内でも有数の騎士です
しかし勇者ファウストはそれ以上に強かった、それだけの話です」
「少なくとも俺、じゃなかった私と打ち合える位の強さは持って居て欲しい」
そう言いながらグレートヒェンに斬りつけるファウスト。
グレートヒェンは警戒していた為
剣で受け止めバックステップで剣の衝撃を流した。
「お見事」
「お眼鏡に叶った様だな」
「・・・それは如何も・・・勇者殿、貴方は一体何が目的なんですか?」
「魔王を殺す、俺の人生はそれだけだ、魔王を殺せれば後は如何だって良い
地獄に堕ちても文句は言わない、何が起ころうとも魔王を殺せればそれで良い」
魔王に向けた絶対の殺意、一体何が彼をそうさせるのかは結局知る事は無かった。
「今までは魔物を殺し続ければ魔王に辿り着くと思っていたが
王様から一人では限界が有ると諭されて強い仲間を求めてここに来た」
「・・・それで陛下、私が彼の供として魔王討伐に出向く、と言う事ですか?」
「その通りだ」
「ですが私一人では心許ないです、もっと数が要ります」
「ならばもっと人手を集めるか・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます