第34話【矢を放つエルフ】

弓の修練場に移動するファウスト達とマンゲル、そして族長


「ではそうだな、俺が的の所まで移動しよう」

「ふむ、では私が的まで移動したお前を射抜く、と言う事で良いんだな?」

「うん、それでいい、俺も距離を詰めていくから全力で討ってこい」

「そ、それはあまりにも危険では?」


ファウストとマンゲルの会話に割り込む族長


「た、確かに危ないと思いますけど・・・」

「ファウストがやるんだから問題無いでしょ」

「う、うん、私もそう思っていた」


グレートヒェンにおどおどしながら同意するノートゥ


「随分と信頼厚いみたいね?」

「自慢の仲間だ」

「そう」


的の方に歩いて行くファウスト、的の所に辿り着き


「じゃあ始めよう、か!!」


振り返り首を傾け飛んで来た矢を回避する


「なっ!?あ、頭!?」

「いきなり急所!?殺す気かマンゲル!!」

「殺す気だよ」

「それで良い」


慌てるヴァーグナーと族長を後目に二本目の矢を放つマンゲル

向かい合っているファウストは剣で矢を撃ち落とす


「その位はして貰わないと困るな」


続けざまに二本の矢を討つ、一本目は剣で撃ち落とし、二本目は腕で受け止めた


「ファウスト!!」

「騒ぐな、ノートゥ、大した事は無い」

「大した事は無いか、虚勢のつもりか?」


口元に笑みを浮かべながら煽るマンゲル、しかし


「いや純粋にがっかりだよ、この程度の威力とは

正直手が持って行かれる位の矢を放てるんじゃないかと思っていたよ」


ファウストに煽り返され笑みが消えたマンゲル


「・・・・・なるほど、これからは加減は抜きだ」


十数本の矢を取り出すマンゲル


「ま、待ったマンゲル!!勇者を殺すとどんな問題が起こるか」

「そんな沢山の矢を使うとは面白そうな曲芸だな」

「上等っ!!」


族長の言葉を無視して一度に手に持った全ての矢を弓で射るマンゲル

ファウストに向かい直進、上に飛ぶ落下、カーブを描く変化球の様に

様々な弾道でファウストに矢が飛んで来る

ファウストは右にゆらりと移動した後に全ての矢を撃ち落としながら

肩と胸に2,3本矢が刺さった


「ふむ、見事だ」

「まだまだ小手調べ!!」


先とは比べ物にならないスピードの矢がファウストに向かう

ファウストは矢を剣で弾いたがあまりの威力に剣を手放してしまった


「さぁ如何する勇者よ!!」

「如何するもこうするもやるべき事は一つだろう」


そう言いながら前に歩き始めるファウスト

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