第25話【聖女と悪童】

聖女ゾルゲの視察が始まる

ゴロツキ共を捻じ伏せて悪党共を叩き潰し悪童を探す為の視察が


「今日は見つかるかなぁ」


暢気にしているが今日も血風吹き荒れるのだろう

最初はお飾りの聖女と思っていた騎士達だったが

ここ数日の聖女の戦いぶり、いや虐殺ぶりを見ていると自分達の方がお飾りでは無いかと疑い始めていた


「見つかるまでやるんだよ」


騎士に似せた兵装で潜り込んでいるグレートヒェンが軽口を叩き


「それもそうか」


聖女もそれに返す


「ん?」

「?」


聖女の一団が止まる、目の前に一人の子供が現れたからだ


「そこな小僧、聖女様の邪魔だ、去ね」

「・・・待った」

「グレートヒ・・・、わ、分かりました」


グレートヒェンが居る事を秘匿しなければならない事を忘れかけていた騎士の一人が

彼女の名前を呼び掛けて口を閉ざし、下がった


「・・・・・」


グレートヒェンを剣を携えて子供の元に歩み寄った

少し大人びた様な褐色肌の少年だった


「・・・君、もしかしてジャベス?」

「はい、そうで」


ジャベスは飛び退いた、彼が先程まで居た場所に剣が突き刺さっていた

グレートヒェンが剣を投げたのだ、ジャベスの元に走り出すグレートヒェン

逃げ出すジャベス、そしてその後を追う騎士達


「この速さ!!これは間違いなく!!」

『間違いない、死体を持っている!!』


グレートヒェンの中のファウストの頭部が彼女に語り掛ける


「じゃあこっちも全力で追いかける!!」


グレートヒェンも全力で追いかける

スラムを駆ける悪童と騎士達、グレートヒェンは兎も角、騎士達はバテて来た


「ぜぇぜぇ・・・なんという速さだ・・・」

「鎧着こんでいるのに・・・これが女子の足なのか・・・?」


倒れる騎士達を後目にグレートヒェンはジャベスを追っていた

ジャベスはスラムの地理に精通していた、それ故に簡単に撒けると思っていたのだが


「待て!!」

「クソッ!!撒けねぇ!!」


ファウストの死体の力を使っている以上

ファウストの頭部の感知からは逃げられない、どんなに迷路の様に入り組んだスラムでも

レーダーを持っている相手からは逃げられない、道理である

だがしかし・・・


『グレートヒェン、無理をし過ぎだ』

「だってしょうがないでしょ!!向うが止まらないんだから!!

第一何でアイツバテてないのよ!!物理を超えたスピード長続きしないんじゃなかったの!?」

『質問に答えよう、この前の少年は『喰う事』を目的とし死体もそれに応えた

彼はきっと『走る事』または『逃げる事』を目的としていて死体もそれに応えてると思われる』

「逃走特化か・・・ならば追い付ければ問題無い!!」

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