第23話【聖女の捜索】

スラムの廃教会、ストリートチルドレン達は明らかに怯えていた

スラムに視察に来る聖女達、当初視察は一度だけだと彼等は勝手に思っていたのだが

連日視察に来ている、最初の内に聖女を甘く見ていたゴロツキ達だったが

聖女が勇者の仲間だと言う事を嫌と言う程教え込まれた


ゴロツキ達はまだ良い

彼等はノリで聖女を襲う等、行き当たりばったりで行動している

そんな連中は即座にのされ捕らえられ牢屋送りになっている


真に可哀想なのはこのスラムを支配するギャング達

彼等の事務所や賭場にも『視察』が入り、聖女達に荒らされる始末

数日がかりで攻め続けられたギャング達は文字通りバラバラとなり

激しい抵抗を見せたギャングのボスは一昼夜の抵抗の後に聖女によって

晒し者にする首すら無い程、凄惨な死体になったと聞く


街では聖女はスラムの視察では無くスラムの掃除をしていると評判となり

スラムの悪党達は身を潜めるか、逃げ出した


ストリートチルドレンにとっては嫌な大人が居なくなった分

生き易くなったと最初は楽観的に思っていた

だがしかし聖女から辛うじて逃げたギャングの一人が告げた事実は彼等を恐怖させた


『聖女はジャベスの行方を追っている』


子供達は街の英雄が自分達の英雄を追っていると言う事実を知り戦慄した

自分達もギャングの様に殺されるのではないかと震えた

社会の理不尽や親の暴力から逃げて来た子供は自分達が救われない存在なのかと絶望した


「・・・」


協会の奥でジャベスは1人佇んでいた


「リーダー」

「ダニエルか、街の様子は如何だった?」

「聖女様を称える人々で持ち切りだよ、ジャベスの事は話題になってないみたいだ」

「最近はお上に連れてかれたゴロツキのアジトからパクッてるから泥棒しなくて済むな」

「聖女様々だねぇ・・・」

「はは・・・」


俯くジャベス


「俺・・・聖女様に何かしたかなぁ・・・」

「聖女様には何もしてないが、泥棒はやり過ぎる位しているだろう」

「そうしなきゃ生けて行けねぇだろうが!!客を取って働いても殺されるかもしれねぇ!!

そんな生活を送れと!?ふざけんじゃねぇよ!!」

「そんな事は百も承知だよ!!だけどもぶっ殺される位には恨み買ってるんだよ俺達は!!」

「・・・・・こんな事を言い合っても仕方ねぇ、如何するか考えなきゃならねぇ」

「如何するって・・・何か出来る事有るのか?かっぱらい位しか出来ないぞ?」

「・・・・・こういう時に大人は如何する?何をするんだ?」

「スラムの悪モン達は大人しくしていたり逃げたりしてるな」

「・・・俺達には両方とも無理だ

・・・俺は聖女様に愛されていると思ったが嫌われていたとは知らなかった」

「注目はされていたのは間違い無かった、と言う事だな」

「違いない・・・ならばやる事は一つか」

「?」

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