第22話【聖女の評価】

昼下がりのスラムの廃屋の一角、ゴロツキ共が安い密造酒を呑みながらくっちゃべっていた


「聞いたか?聖女様がスラムに来るんだとよ」

「へぇ、面白そうじゃねぇか歓迎してやらねぇとな」

「だな、魔王がくたばって払い下げになった武器が沢山有るんだ

聖女拉致って身代金を要求しようぜ?」

「そいつは良い!!」


酔っているからか冗談交じりに聖女を攫うと言う話をしているゴロツキ共

ゴロツキの一人が廃屋の窓から外を見る


「・・・おい、アレ・・・」

「ん?」

「どしたい?」


ゴロツキ達が外を見ると護衛の騎士達の一団が見える

その中心には権杖を携えた聖女ゾルゲが


「本当に来たか、如何する?」

「一発ぶっ放そうぜ!!」


酔ってハイになったゴロツキの一人が銃をゾルゲに撃つ

王国の銃士隊より払い下げになった旧式のマスケット銃から弾丸がゾルゲに向かう


ガンッ


「いった!!」


ゾルゲの頭部に命中したにも関わらず頭を押さえる程度にしかダメージが通っていない


「・・・・・は?」

「おまっ、何撃ってるんだ!!」


騒ぐゴロツキ達


「居たぞ!!あそこだ!!」

「捕まえろ!!」


騎士達が廃屋の中に突撃する、物の十数分でゴロツキ達は捕縛され

ゾルゲの前に引き摺り出された


「さて銃を撃った奴は誰?」

「な、何で死んでないんだ・・・?」


震える声で問うゴロツキ


「常に魔力を皮膚に纏わせているから大体の攻撃は無力化出来るんだよ

これでも回復薬だが魔王討伐の最前線に居たんだ

スラムの治安が如何に悪かろうが私にとっては凪に等しい」

「ひぃい・・・」

「諸君、一つ聞きたいんだがジャベスと言う小僧について何か知っているかね」


騎士の一人が質問を投げかける、他の騎士達とは違い兜で顔が見えず

やや若い声である


「ジャベス?あの餓鬼か・・・俺達も手を焼いている餓鬼です」

「居場所を知らんか?」

「知らねぇ・・・です」

「そうか、では聖女殿、こやつらは如何なさいましょう」

「牢屋に入れておきましょうか」

「では我々が近くの詰め所に連れて行きます」


騎士の二人がゴロツキ共を連れて行った


「・・・それにしても・・・ジマーン殿、私って銃弾一発で倒れる様に見える?」

「失礼ながら我々も驚きましたよ」

「勇者の仲間だったのだからこれ位の事で倒れる訳ないでしょうに

・・・少しショックですね」

「それは申し訳有りません」

「冗談です、では視察を続けましょうかジマーン殿」

「はっ」

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