魔女と魔導石3

「しかし、暗いわね。ライトがあるとはいえ、ずっといたら気がどうにかなりそうだわ」


洞窟内部をライトで照らしながら、歩くウォルタが言った。


「ホントに苦手なんだなぁ。でも確かに、こんな暗い所で石探しをしなきゃならないのは大変だな」


フレイもウォルタに同調した。


「まったくなんでよりによってこんな場所に……」


ウォルタは歩きながらぶつぶつと文句を垂らした。


「文句言ったってしょうがないじゃん…………ん?」


ウォルタをなだめるフレイが何かに感づいた。


「どうかした?」


「……なんか、空気の流れが変わった?」


「あなた、そんなことわかるの?」


「分かんないけど、なんとなく。とにかく進んでみよう」


二人は足早に洞窟内を進んだ。


そして大きく開けた場所に出た。


「随分と広い所にでたわね」


辺りをライトで照らしながらウォルタは言った。


「ああ、まるで何かの住処みたいだな」


フレイが笑いながらそう言った。


「ちょっと変なこと言わないでよ。こんな暗い所で魔物なんかに出られたら……」


ウォルタがそう言いかけたとき、二人の背後で何かが動く音がした。


「まさか……」


ウォルタは振り返って、音がした箇所にライトの光を向けた。


そこには岩石でできた、巨人が立っていた。


「……なぁんでこうなるわけ」


ウォルタはへっぴり腰でそう言った。


そして、魔物はウォルタに向けて拳を振ってきた。


「ええい! しょうがないわね!」


ウォルタはそう言いながら、魔物の拳をかわし、腰のホルスターから魔法銃を引き抜くと、魔物目掛けて、魔法の銃弾をお見舞いした。


しかし、その銃弾は魔物の強固な体の前にかき消された。


「……何か最近、私の攻撃、全然効かないわね。ますます、魔導石が欲しくなってきたわ」


ウォルタは若干、涙目でそう言った。


「おーい、ウォルタ! ライトで魔物を照らしてくれ、ウチがやってみる!」


フレイの言葉に従い、ウォルタは魔物にライトの光を向けた。


そして、フレイは助走をつけて魔物に駆け寄ると、炎をまとった剣で魔物を切りつけた。


しかし、やはりその強固な体の前に攻撃ははじかれた。


「ダメだぁ! 全然、食らってないよ!」


魔物から距離を取ったフレイが言った。


「不味いわね、分が悪すぎるわ。魔導石が気になるけど、ここは一時撤退よ!」


「分かった!」


そう言うと二人は魔物に背を向けて全速力で走り出した。


しかし、この後、二人を思いもよらぬ事態が襲った。


突然、二人の足場にひびが入り、地面が割れたのだった。


二人はそのまま、崩壊した足場の下へと落ちてしまった。


「…………いてて、なんなんだよ」


フレイが頭を押さえながらそう言った。


「まったく、この洞窟どうなっているのよ!」


ウォルタも腰をさすりながらそう言った。


すると、ここに来て、探知機が今までにない大きさの音を発した。


「ウォルタ、これってもしかして!」


「ええ、この状況、ぜひそうあってほしいものね」


そう言うとウォルタは周囲をライトでくまなく照らした。


すると岩と岩の間に、形の整った円盤状の石を見つけた。

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