魔女と大捜索2

ウォルタ、フレイ、マリーとそのギルドのメンバー3人は定刻通り広場で落ち合った。そして一行はザワの森の北側に位置する、グルの森へとやって来た。


「早速だけど捜索に取り掛かるわ。捜索は二班で行う。私はウォルタとフレイに同行し西側を探すわ。あなたたち3人は東側をお願い」


マリーが他の3人のメンバーにそう指示すると、3人は森の入口から東に進むように歩き出した。


「では、ウォルタ、フレイ頼むわよ」


「ええ、マリー。それで彼女を探すための手がかりだけど、この写真だけってことはないわよね」


ウォルタは手に持ったルリの写真をマリーに見せて言った。


「もちろん。これを使うわ」


そう言うと、マリーは腰のポーチから水晶のようなものを取り出した。


「なんだ、それ?」


フレイが尋ねた。


「これはルリの魔力を少量ながら閉じ込めた水晶よ。彼女のギルドのメンバーが使用してるものを借りてきたの。私たちが彼女に近づくと、その魔力に共鳴してこの水晶が光を放つわ。最も、かなり対象に接近する必要があるのだけど」


マリーは少し申し訳なさそうな表情で答えた。


「なるほど、そいつは便利だな」


フレイが水晶を見つめながらそう言った。


「でしょ。さあ、私たちも出発しましょうか。ここ、グルの森はただでさえ多くの魔物が潜んでいるわ。十分、気を付けね」


マリーは懐に水晶をしまうと二人に言った。


「ええ」


「ああ!」


三人は森の中へと足を踏み入れた。そして、しばらく歩いたところで、三人の前方に見えた茂みが大きく動いた。


「早速、お出ましのようね」


ウォルタは腰のホルスターから魔法銃を抜き放った。


「……にしても、多すぎよ!」


眼前の魔物に銃弾を浴びせながらウォルタは言った。三人はこの森に入って既に三回、それも数十匹の魔物の襲撃を受けていた。


「……不味いわね。彼らに構っていては、捜索が進められないわ」


マリーは左手の甲で頬の汗を拭いながら言った。そして、ひと呼吸おいて、ウォルタとフレイに叫んだ。


「ここは私が何とかするわ。二人は先に進んで、捜索を続けて!」


そう言うと、マリーはウォルタに水晶を投げ渡した。


「マリー! 平気なの?」


ウォルタは水晶を受け取ると尋ねた。


「心配ご無用。なんたって私、ウォルタの先輩なんだから!」


マリーはウォルタの方を振り返り、ウィンクをした。


「……根拠はよくわからないけど、了解したわ。フレイ! 行くわよ!」


「すまない、マリー! ここは任せた!」


二人は魔物の群れの合間をかき分け、疾走した。魔物たちも二人を追いかけようと、方向を変え走り出した。しかし、彼らは背後からの衝撃波によって、吹き飛ばされた。


「二人の仕事の邪魔はさせないわ。あなたたちはお姉さんが相手よ!」


そう言うとマリーは両手で構えた巨大なメイスに魔力を込め、、襲い来る魔物の群れに向けて振り下ろした。

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