魔女と魔導石2
「でっかい山だなぁ!」
デコ山のふもとでフレイは言った。
「なぁ、こんなでかい山の中から、石一個どうやって探すんだ?」
フレイはウォルタに尋ねた。
「これを使うのよ」
そう言ってウォルタはカバンの中から小さな石版らしきものを取り出し、フレイに見せた。
「これは、魔導石の在処を探知できる道具よ。持ち主が魔導石に近づくと音が鳴る仕組みで、魔導石に近づけば近づくほど、その音が大きくなるわ」
「なるほど、やるな、ウォルタ!」
「当然よ。いつかの木の実探しと同じ轍は踏まないわ」
ウォルタはフフンと鼻を鳴らすと、探知機を起動した。
すると、探知機は小さな音を発した。
「どうやら、そう遠くない場所にあるらしいわね」
「待ってろよ、魔導石!」
二人は探知機の音を頼りに山の中を進んだ。
そして、探知機の音は、二人をとある洞窟の前へと導いた。
「……この洞窟の中ってことか」
フレイは真っ暗闇の洞窟を見てそう言った。
「…………そのようね」
ここに来てウォルタのテンションはガクッと下がっていた。
「よし、行こう! ……ウォルタ?」
洞窟へと脚を向けたフレイとは対照的に、ウォルタはその場で立ち止まっていた。
「……ええ、行きましょう」
ウォルタは苦笑いを浮かべたまま、その場から動こうとしなかった。
「……ウォルタ、もしかして」
「……何よ?」
「暗いの苦手?」
フレイが苦笑いを浮かべながらそう言った。
「そ、そんなわけ! …………あるわ」
ウォルタはその場に膝を着いた。
「……しょうがないなぁ」
そう言うと、フレイはバッグからライトを取り出して、ウォルタに渡した。
「なんかの役に立つかと思って持って来たんだ。これさえあれば平気だろ?」
フレイは笑顔でそう言った。
「……やるじゃない、フレイ」
ウォルタはライトを握ると立ち上がった。
そして、二人は洞窟の中へと足を踏み入れた。
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