魔女と魔導石1
「ふんふんふーん!」
ある朝、ウォルタは自宅である一枚の依頼書を見て、小躍りしていた。
「おはよー……どうしたんだウォルタ、今日はご機嫌じゃないか?」
ウォルタは小躍りをやめてフレイに近寄った。
「いつもは不機嫌みたいな言い方は止めて。それよりこれを見なさい!」
ウォルタはフレイの目の前に依頼書を掲げた。
「何々……魔導石・調査依頼?」
「どう、すごいでしょ! 滅多に見つからないあの魔導石の調査依頼よ! 朝一番で掲示板から取って来たんだから!」
ウォルタは目を輝かせながら、そう言った。
「……魔導石ってなんだ?」
ウォルタはその場でずっこけた。
「……あのねぇ、魔導石っていうのは、簡単に言えば、魔導具を強化するためのアイテムのことよ。手のひらに収まる程の小さな石版だけど、古代文明のパワーが秘められているの。それを手に入れれば、魔女としてのパワーアップが果たせるってわけ!」
ウォルタはフレイに早口でそう説明した。
「強化アイテム! それは面白そう! ……だけど調査依頼ってことは、誰かに探すよう頼まれたってことだよな。ウチらは見つけても使えないんじゃないか?」
「ちっちっち、そこがこの依頼の醍醐味よ。一度、依頼者の専門家に渡して、石の解析が済んだら、なんと、その石は発見者の魔女に付与されるのよ!」
ウォルタはいつにないテンションでそう言った。
「それはすごいな!」
フレイも同調した。
「でしょー! ……ってなんか初めてあなたとテンションが一致した気がするけど……まあ、いいわ。魔導石探しに出発よ!」
「おぅ!……朝飯のあとでね」
「……そ、そうね」
ウォルタとフレイは朝食を済ませ、都市ドマンナカから北にある、デコ山へと向かった。
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