第79話
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高木教頭の肩に力が入った瞬間だ。
「むぐっ」これから凄まじい強烈な右ストレートを生徒の顔面に浴びせようとしたところで、いきなり左の脇腹に強烈な痛みが走った。「うっ」腹部を押さえる。
何が起きたのか分からない。気がつくと、黒川拓磨がこちらを向いていた。まさか、お前の仕業か?
奴の両手が拳骨になっていた。ボディ・ブローを食らったのかもしれない。信じられない。まったく目に見えなかった。
やや前屈みの姿勢で苦痛に耐えていた。そこに生徒の膝が跳ねるようにして顎に命中した。勢いで頭が起き上がる。次は風を切る音がしたかと思うと拳が飛んできた。早過ぎて、かわすことも出来ない。左の頬と鼻面に二発のパンチが突き刺さった。「ぐうっ」
高木は腰を落とす。そして自覚した。もはや小学校でルー・テーズのように無敵だった頃の自分はいない。あれから三十年という月日が経ち、胴回りが三十センチも増えていたことを考慮すべきだったのだ。
気を失う直前、うつろな目に映ったのはビンビンに立つ黒川拓磨のペニスだ。それに向かって倒れ込む。自分の唇が触れそうになるところを、それだけは何とか体を捻って避けた。
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