第68話

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 「ところで、お前」女が黒川拓磨に訊いた。「どうなっているんだい、あの忌々しい鏡は?」

「心配ない。今のところ思った通りに事が進んでいる。三月十三日までには片づくと思う」

「そりゃいい。あたしも少しは役に立ったのかい?」

「もちろん」

「よかった。あれが無くなりゃ、お前が恐れるモノは何もない」

「手に入ったら、すぐにオレが自分で始末する」

「そうしな。平郡中学じゃ、そのまま残して失敗したんだから」

「まさか熱で割れずに残ったなんて……。信じられなかった」

「それだけ厄介な代物なのさ」

「今度は間違いなく、この手で破壊してやるぜ」

「そしたら誰も、もう黒川拓磨を止めることは出来ない。あはは」

「もう、やりたい放題さ。三月十三日が楽しみだ」

「その日は、あたしも後から行くよ。上手く行ったかどうか見届けたいから」

「大丈夫さ。でも好きにしてくれたらいい」黒川拓磨は笑みを浮かべながら言った。

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