113  氷の女王XVI

 誰もいない部屋でシャワーも浴びずにそのまま眠りについた。




     ×     ×     ×




 夕日が射し込む頃、エミリーはゆっくりと目を覚ました。



 目の前の視界に誰かの姿が映る。



「ん? 起きたか?」



 デミトロフが振り返ってエミリーの顔を覗き込む。



「あ、はい……」



「腹が空いた。夕食も近い。帰るから支度しろ‼」



「ふふふ……」



 エミリーは微笑む。



「何がおかしい……」



「いいえ。分かりました。すぐに帰りましょうか」



 エミリーは起き上がって、ぼさぼさになった髪を整え、髪留めで結ぶと、デミトロフの後を追った。



 今日が終わり、明日が来る。太陽が沈み、月が昇る。月が沈み、太陽が昇るのだ。



 今日の教訓は、次に生かせばいい。例え、芽が生えなかったとしても、次、生やせばいいのだ。

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