068  剣の魔導士とそこにあるものⅫ

「でも、ユーヤよりは女性を大切にしてくれると思う……」



「二人とも他人事ではないんですよ! ですが、服がピッタリなことに関しては感謝するしかありませんね」



「まあ、慣れない服って意外と多いしね……」



 三久は服まで着替え終えると、髪を一つに纏め、髪留めでしっかりと固定し、前髪をヘアピンで左斜めに固定すると、脱いだ服を装備ボックス内に戻す。



「それにしても大丈夫かな?」



「大丈夫でしょ! 裕也なら今頃、「寝みぃ」とか言っていると思うわ」



「そうですね。彼なら自分よりも次の手段を考えていたりしているのかもしれませんね」



 三久は立ち上がって、扉を開けると総司を中に入れる。



「さて、作戦開始は明日の午前中に行う。……って事で俺もここに泊まることにしたから訊きたいことがあったらいつでも連絡してくれ! 部屋の番号はこのすぐ上の三〇二号室だ」



 そう言い残して、再び総司は部屋の外に出て、姿を消した。




     ×     ×     ×




「――――と、言うわけだ。それにしても魔封石のせいで力が出せないって言うのは少し困るな。裕也、マーロスは何か言っていなかったか?」



 総司は柵の向こう側にいる裕也に訊いた。



「ああ、俺が睨んだ通りだよ。奴は賢者の石と黒魔法を手に入れている。だが、それが本物かどうかは疑わしいけどな……」



「面倒な事に首を突っ込んだらしいな。三久さん、錬金術で鍵を開けて、魔封石と同じ鎖手錠を錬成させ、新たにそれを裕也に付けてください」



「はい。分かりました」



 三久は総司の指示に従って、錬成を行い、地面からこの檻の鍵を作る。



「さて、その間に色々と話しておこうか。他には何を訊き出した?」



「後は二日後の満月、俺は生贄として捧げられるらしい。意味は分からないが、三つの法則を壊そうとしているのは確かだ。もしかすると、この街自体を巻き込む可能性はある」



「なるほどな。賢者の石、黒魔法、白魔法の法則を無視して、行うとなるとそうなる可能性は確率的に高いか……。さて、それをどう食い止めるかが問題だよな」



「それよりもお前、こっちに来たのは大佐に命令されたからなのか? それともただの休暇なのか?」



 裕也は三久に鎖手錠を解除せてもらいながら、柵の向こう側にいる総司を見続ける。



「ただの休暇だ。それで、事が済んだら全てを大佐に告げるつもりだ」

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