059  剣の魔導士とそこにあるものⅢ

「ねぇ、この意味って、結局何が言いたいわけ?」



 一花は投げ出して、二人に回答を求める。



 二葉は黙ったまま何を離さない。



 三久は頭を悩ませながら何度も溜息をついて、部屋を行き来している。



 三人が三人とも裕也が残したメッセージを解読することができなく、時間がどんどん過ぎていく。



「0から三、三から一って私たちの事じゃないかな?」



 二葉は手を挙げて解答を述べた。



 確かに二つ目の一文は『三』という数字が書かれてある。



 三つ子も同じく三人である。



「つまり、この二つ目の文は私たちの事を意味しているんじゃないのかな?」



「そうですね。二葉の言う通り、そんな風に捉えることもできますね。ですが、最初の一文はどう捉えるべきでしょうか? そもそも0から一が生まれる。無いものから新たに作り上げることは分かります。だったら一から0というのはどういうことなのでしょう」



「壊すっていう意味じゃないの? 裕也は私たちに何かを壊せって言いたいんじゃないのかしら……」



「それはないと思う。一から0が生まれないという言葉は不自然。なぜ、0になるのかが頭に引っかかる」



 二葉が不満げにその事について疑問詞を浮かべる。



 一から0になるには引き算や掛け算をすればそうなるが、だったらどうしてそんな事を書いたのだろうか。



 一から三、三から一、やはりどうしても分からない。



 コン、コン、コン――――



 扉の向こう側から音がした。



 ――――まさか、この場所がバレた?



 ――――そんなはずはありません。一応、ここには二葉の結界が張られているんですよ!



 ――――でも、もし、ユーヤだったらどうするの?



 三人は互いに目を合わせて、無言で会話する。



「サクライ様、あなたにお客様です」



「店主、そんな事もしなくてもいい! 君は下に戻ってくれ! レディー達を脅かしては男の恥だからな……」



 と、隣にいる若い男の声がした。



 聞き覚えのある声だ。三人は武者震いが走った。



「ねぇ、この声ってまさか……」

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