040 ウエストシティの内戦Ⅲ
二葉はそっぽ向いて、頬を赤らめた状態でポツリと言葉をこぼす。
「ちょっと待て! これは二葉の野郎が勝手に俺のベットに潜り込んでだな……」
裕也はあたふたしながら弁解しようとするが、そんなの言い訳にもならない。そもそもこの体勢自体が弁解の余地もない状態になっているのだ。
「それでなんでこのような体勢になっているのですか?」
「それを訊くのは二回目だよな‼ 俺はただ二葉をどかそうとしただけだ‼」
裕也は再び大声を上げる。
「と、言っていますが、一花はどう思いますか?」
三久は裕也と目すら合わせてもらえずに一花に話を回す。
一花は上から見下ろすように睨みつけ、仁王立ちしている。
そして、
「サイテー」
と、たった一言しか言わなかったが、意外にも裕也にとっては重たい言葉であり、谷底に投げ飛ばされるような勢いだった。
「だ、そうです。それでいつになったら裕也君は二葉の上から退いてくれるんですか?」
「あ、おっと……」
裕也はすぐにベットの上から降りて、そのまま自ら正座して難を逃れようと反省するそぶりを見せる。
「と、ところで何ですが……時に三久さん。錬金術で俺達四人の人形を作っておいてもらえないでしょうか?」
「はぁ、なんぜですか?」
「それはですね……念には念を入れよと言いますか……そんな感じです……」
「分かりました。そのことに関してはこちらで何とかしますが……今回はあなたと共に行動いたしません。一人で行動します」
三久は怒ったまま、部屋を出て行ってしまった。
「私も今日は三久と行動するから‼ こんな外道と一緒に行動なんて嫌よ‼」
「お、おい! お前ら……ちょっと!」
一花もまた、部屋を出て行った。
裕也と二葉は、静かになった部屋に取り残された。
「はぁ、なんでこうなったんだよ……」
「ユーヤ、私も悪いから今日は私だけでもユーヤに……」
「ああ、助かる……。あの二人の機嫌を取るのに結構時間がかかりそうだしな……」
裕也はベットに座り、深々と溜息を漏らした。
――――まあ、あの二人がやられる可能性は低いが、そんな事よりもこっちを優先するべきか。
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