第4章  ウエストシティの内戦

038  ウエストシティの内戦Ⅰ

 翌朝、宿舎の部屋には太陽の光が射し込んでいた――――



「朝か……」



 裕也はゆっくり目を覚ますと白い天井が目に映っていた。



「流石に三年もいれば慣れてくるよな……」



 右手を上げて、拳を握った。



 ――――でも、賢者の石と黒魔法、厄介な話になってきたな。



 ――――早急に手を打たなければやられるだけか。



 ――――それに俺達がこの街に滞在していることは向こうにバレているだろう。



 ――――監視は……当然されているだろうな……。



 起き上がろうとすると、左腕が何故か重たい。



 軽いはずなのに体全体が起き上がろうとしないのだ。



 そっと毛布をめくって中を覗いてみると、赤い髪の毛がすぐ目の前に現れた。



 ――――おいおい、誰だよ。俺のベットに潜り込んできたのは……て、二葉か?



 他のベットを見ると目の前のベットだけ誰もいない。窓側が一花でその隣が三久。二人は未だに自分のベットで寝ているのは確かだ。



 ――――こんな所を二人に見られたら終わりだ。でも、二葉に退いてもらわないと……。



 裕也は冷や汗を掻きながら気づかれないように二葉に囁く。



「二葉、二葉起きろ……」



「う、う……」



「起きろって……」



「うーん……」



 ――――寝ぼけてやがる。しかし、起こさないと俺の方が……。



 裕也はさらに二葉の体を強く揺さぶる。



「ん、んん? なんで、ユーヤが私のベットに?」



「それは俺のセリフだ! お前が俺のベットに入ってきたの!」



 二葉は目を覚まして、目を擦りながら裕也に問う。小声で答える裕也は、苦笑いをした。



「ふーん。じゃっ、お休み……」



 二葉は再び目をつむる。



「寝るなぁあああああ……。寝るなら自分のベットに戻れ。二人が起きる前に早く」



「うるさいなぁ……。別に減るもんじゃないし、いいでしょ」



「減るわ。俺の何かが減るわ!」

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